研究課題/領域番号 |
22K04001
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
古屋 治 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00290726)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 免震機構 / 新規性 / 応答低減効果 / 解析モデル化 / 振動台実験 / 時刻歴応答解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,半導体製造設備など微小振動嫌振機器での防振領域と地震領域の両領域をカバーする手法を検討した.ここでは,研究の第一段階として,水平に支点が可動することで重心位置を変動させる形式の振り子構造による新たな免震機構の在り方を解析と実験の両面から検討を行った. 解析では,支点部を可動させることにより,支点部固定状態より 約67~74%応答低減された.また,入力加速度に対しては約79~ 89%低減された.各地震波の応答が低減したことから,提案構造の有効性を確認できたと考える. 実験では,試験装置の基本特性を評価するためスイープ波加振試験,正弦波加振試験,地震波加振試験を行った.スイープ波加振試験では,支点部の固定時と可動時それぞれの固有振動数を確認した.正弦波加振試験では,スイープ波試験から得られた固有振動数で正弦波を入力し,支点部の固定時と可動時の応答の差異を確認した.地震波加振試験では代表的な地震波を入力し,支点部と吊り部の振動数比による応答低減効果を確認した.振動数比が近くなるにつれ応答が減少し,最大で43~80%の応答低減効果を確認した. 振動モデルを用いた振動応答解析結果と正弦波試験結果の比較を行った.支点固定時では,正弦波応答は良好な結果を得られたが,地震波応答ではやや誤差が生じる結果となった.支点可動時では,解析結果と試験結果で応答に支点固定時よりもやや大きな誤差を確認した.当該誤差については,回転運動や摩擦係数等の非線形要素を追加することで解析誤差を低減し,応答を適切に表現可能な解析モデルの構築が可能になると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度第1期は,導体製造設備の性能要求をもとに微小振動対策,並びに,巨大地震対策で必要となる詳細機構を検討し,計画通り進めた.第2期では,検討した詳細機構について振動対策の融合を図ることをベースに具現化を検討し,実験装置の基本仕様をまとめた.第3期では,詳細仕様を検討するため,対策機構に関する運動方程式の立式から解析モデル化を検討した.解析結果をもとに,水平+回転挙動を有する基礎的要素試験体を設計・製作して基本的な動的挙動を確認した.さらに,先に検討した解析との比較検討により,解析モデルの高度化を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の展開として,振動モデルを用いた解析結果と試験結果の比較検討を継続して実施する.ここでは,回転運動や摩擦を考慮した解析モデルの高度化を行う.次に,水平方向から水平+鉛直方向を考慮した並進運動と回転運動の振動モードを適切に重ね合わせる新たな免震機構を検討し,適切な仕様を解析から求めたうえで振動実験試験体を設計製作し,振動実験から有効性を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で実施予定であった鉛直方向への装置機構展開を次年度でのモデル高度化に向けた準備に含めることとしたため.
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