研究課題/領域番号 |
22K04001
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
古屋 治 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00290726)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 免震機構 / 新規性 / 応答低減効果 / 解析モデル化 / 振動台実験 / 時刻歴応答解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,半導体製造設備など微小振動嫌振機器での防振領域と地震領域の両振動領域をカバーする手法を検討している.研究初年度は,研究の第一段階として,水平に支点が可動することで重心位置を変動させる形式の振り子構造による新たな免震機構の在り方を解析と実験の両面から検討を実施し,可動支点部により応答低減効果を確認し,提案構造の有効性を確認した. 研究2年目においては,上下方向の応答低減/増幅効果を得るための手法についての基本的な考え方を解析的に検討した.ここでは,主振動系に副振動系を適用することによる主振動系の運動に与える影響を検討することで応答の制御性についてまとめた.結果として,主振動系と副振動系における特定の周期の比率によって,応答の増減を制御できることが確認された.一方で,定常応答しない不安定な応答も確認されたことから当該振動領域においては減衰付加による応答の安定性について検討をさらに実施した.応答の制御においては,主・副振動系の固有周期比,主・副振動系の質量効果や振動系に与えられる初期変位等の初期条件の寄与率が高いことも確認した.ここまでの研究成果については,論文にまとめ報告している.また,研究の最終年度への展開に向けて,これまでに得られている専門知見をもとに,水平+鉛直方向を考慮した並進運動と並進/回転運動等の振動モードの適切な重ね合わせを考慮した振動応答低減/増幅機構を具現化する振動実験試験体を設計について検討を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究第2期は,第1期で検討した水平方向での応答低減を主とした機構に対して,軸直角方向の鉛直方向を主とした応答低減手法について検討を進めている.ここでは,質量要素,ばね要素から構成される主振動系に主振動系と同様に質量要素,ばね要素から構成される副振動系を設置した振動系の運動方程式をラグランジュの方程式より導出し,応答解析プログラムに展開した.複数の解析パラメータを計画し,本研究で目的とする主振動系の応答を制御可能となる設計パラメータの範囲を検討した.次に,現実的な観点で振動系に減衰要素を加えた振動系で同様の検討を実施した.さらに,次の研究ステップで基本性能を実験的に検討可能となるよう具体的な設計仕様を求めた.このように,本研究は,概ね当初計画通り順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,研究の最終年度になっており,今後は研究計画にしたがって1年目の水平方向を主とした機構の検討,2年目の鉛直方向を主とした機構の検討を踏まえて,水平+鉛直での機構について検討を進め,これまでに得られている専門知見をまとめるとともに,解析的・実験的に研究内容を検証する.特に,振動台実験を中心に手法の基礎理論と応答制御性について検討を拡充する.ここでは,水平方向から水平+鉛直方向を考慮した並進運動と回転運動等の振動モードの適切な重ね合わせを考慮した振動応答低減/増幅機構を具現化する振動実験試験体を設計製作し,基本的な振動応答の制御方法をまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2年目の当初計画では,振動実験用の試験体設計・製作費用を形状していた.しかしながら,解析条件や具現化の観点で設計期間が長期化し,製作および振動台実験による性能検証が継続検討事項となった.このため,試験体の設計費および製作費が次年度使用額として生じた.研究3年目においては,研究2年目での検討事項を踏まえた設計までが終了していることから速やかに試験体設計・製作に以降し,予算を計画通り支出していく.
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