研究課題/領域番号 |
22K04042
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
丹沢 徹 静岡大学, 工学部, 教授 (30805073)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 極低電圧 / 昇圧回路 / オシレータ / モデリング / エネルギー・ハーベスト |
研究実績の概要 |
コルピッツ・オシレータ(ESCO)にLC共振器を接続して発振振幅を増加し昇圧能力を高めたmESCO回路の1)発振周波数、2)ゲート接地利得、3)ゲート接地利得と発振振幅の関係、をモデル化した。モデル精度の検証のため回路シミュレータSPICEを行い、広い回路パラメータ範囲で10%以内のモデル精度であった。発振振幅を増加するために回路パラメータをどのように設定すればいいか指針が判明した。また、65nm CMOSで回路を設計・試作した。現在の測定環境で発振を確認することはできなかった。測定上付加されてしまう電源・グランドの寄生インダクタンス・キャパシタンスの影響が考えられる。 加えて、低電圧で集積化LC発振回路を動作させ、これに多段のSwitched capacitor(SC)を接続して昇圧を行う回路の最適化を検討した。オンチップ・インダクタはチップ・インダクタに比べて桁違いに寄生抵抗が高いため、昇圧回路の出力電力を増やそうとSCの並列数を過剰に増やすと発振信号の電圧振幅が減少し、結果として出力電力がむしろ減少する。最適な並列数を決定するための回路モデリングを行った。SPICEと比較して良い一致を得た。 さらに、制御回路はバッテリ電源で動作させ、環境発電素子の出力する電力を変換してバッテリ充電を行う回路を調べた。この回路は、回収した電力が制御回路の消費電力より多い条件でバッテリ充電器となる。環境発電素子の出力電圧とバッテリ電圧が与えられた時に、どのような回路であれば正味の回収電力を最大にできるかの解析式を得た。この解析式から、入力電圧10mV・バッテリ電圧1.5Vの条件で10マイクロワット・オーダーの電力を回収できることをSPICEで検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・回路モデリングに関してはSPICEとよく一致するモデルを構築できた。 ・試作回路は現在の測定環境で発振を確認することはできなかったものの、回路シミュレータSPICEで昇圧能力の予測を立てることができた。
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今後の研究の推進方策 |
・回路の出力インピーダンスのモデル化を行って、mESCOの完全モデル化を目指す。 ・測定環境を整備して試作回路の発振を実現する。
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