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2023 年度 実施状況報告書

極低電圧から昇圧可能な電力変換回路の動作原理解明とIoT端末への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K04042
研究機関静岡大学

研究代表者

丹沢 徹  静岡大学, 工学部, 教授 (30805073)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードコルピッツ・オシレータ / LC共振器 / 昇圧 / IoT / 電力変換回路
研究実績の概要

今年度はまず、コルピッツ・オシレータ(ESCO)にLC共振器を接続して発振振幅を増加し昇圧能力を高めたmESCO回路の動作実証を目的とすることとした。昨年度の試作結果を踏まえ、発振周波数を一桁落として300 MHz程度として回路を試作した。インダクタ単体のサイズは上限を0.7 X 0.7 mm2として10 nH程度に抑え、キャパシタは数10 pFに増やしたものの回路サイズはほぼインダクタで決定できた。トランジスタのしきい電圧は0.3 V程度であるため、負性抵抗を提供するNMOSトランジスタのゲート端子(VGを印加)はインダクタに接続する端子(VINを印加)とは独立にして、ゲート電圧を独立に振れるようにした。これで仮想的にしきい電圧を振ることができる(例えばVGをVINより0.2 V上げると仮想的にしきい電圧を0.2 V下げたとみなせる)。VG=VDDのとき昇圧比2.5をVDD=0.3 Vまで確認できた。VGを0.5 Vに固定してVINを下げると、0.2Vでも昇圧を確認した。また、昨年度最適化を検討した「集積化LC発振回路駆動の多段チャージポンプ昇圧回路」を試作し、最適化方法の実機検証を行った。試作シリコン面積の制約から、昇圧回路並列数が4と8の計二つの回路を搭載した。サイズ2 mm2の回路で、入力電圧0.5Vから2 Vに昇圧するときの出力電力が並列数4と8でそれぞれ40μW, 100 μW程度であることを確認し、最適化方法の妥当性を確認した。SPICEシミュレーションによれば、昇圧能力のインダクタの直列寄生抵抗依存性が大きい。発振周波数におけるインダクタのQ値を高くする設計方法が重要であるようだ。インダクタと多段チャージポンプ昇圧回路の全体で出力電力密度を増やす設計方法を検討する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実機で初めて原理実証を達成した。入力電圧0.2 V以上で昇圧を確認した。測定結果は回路シミュレーショと良い一致をみた。

今後の研究の推進方策

高周波化で昇圧出力電流の増加を目指す。出力電力密度を指標に性能向上のための回路設計を検討する。

次年度使用額が生じた理由

コンセプト実証を優先するため動作周波数を落として回路を試作することとし、比較的安価なCMOSを利用したため次年度使用額が生じた。次年度は高周波特性を調査するために共振周波数依存性を変えた複数の回路試作を実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 電圧振幅拡大型コルピッツオシレータを用いたDC-DC昇圧回路の動作実証2024

    • 著者名/発表者名
      稲葉 泰誠、丹沢 徹
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] 差動型LC発振器駆動チャージポンプの昇圧特性評価2024

    • 著者名/発表者名
      植村寛太・丹沢 徹
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会

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公開日: 2024-12-25  

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