研究課題/領域番号 |
22K04050
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
桑原 拓也 日本工業大学, 基幹工学部, 准教授 (70602407)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 水処理 / 非熱プラズマ / 気液二相流 / オゾン / 殺菌 |
研究実績の概要 |
「水で水をキレイにする」をコンセプトに、水の電気分解により水素と酸素を発生し、水素を燃料電池の原料とし発電して電力回収し、酸素を殺菌効果と化学物質の分解効果の高いプラズマ形成オゾンの原料として利用する燃料電池を用いたクリーンな低温プラズマ水質浄化装置を開発する。プラズマ放電工学、電気化学理論、流体工学を融合させて水質浄化システムを最適化し、高い浄化効果を持ちながら省エネルギー化するという高機能化を実現する。高機能化に欠かせない水処理を行う浄化リアクタも開発し、混相流動と殺菌・分解効果の関係を実験的に解明する。これらの学術的研究を行い、約100人分の1日の消費量である200 Lの水の一般細菌を200 W/hの電力で100%の殺菌が可能な水質浄化技術を開発する。 処理対象水の液相流束とオゾンの気相流束の関係よりボイド率を算出し、ボイド率と溶存オゾン濃度、細菌や化学物質の分解効果の関係を明らかにするための実験装置を構築した。 今年度は電気的な省エネ化に注力し、省エネルギー型の非熱プラズマ殺菌浄化システムの高効率化を目的として、水の電気分解における水素発生特性と電力回収率を調べた。水の電気分解に必要な消費電力に対し、電力回収率が16%に達することが分かった。これまでの電力回収率に比べて5%向上した。しかし、まだ、余剰水素が放出されていることから更なる効率化を達成するためには余剰水素を再循環させて燃料電池に供給できるという知見を得た。このときに発生した酸素の流量は0.34 L/minであり、無声放電によりオゾンに変換し、そのオゾン濃度は1.78%の高濃度オゾンであった。この高濃度オゾンにより強力な殺菌浄化が可能であり、比較的大きな流量の水の浄化に適用できる。そのため、実用化を考慮すると研究成果の意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
省エネルギー型の非熱プラズマ殺菌浄化システムの高効率化を目的として、水の電気分解における水素発生特性を調べ、水素を最大限に発電で消費するための最適な燃料電池を選定した。発生電力が100 Wクラスの燃料電池を用いることで余剰水素の低減を図った。電力回収特性を調べた結果、最大で39.9Wの発電を達成し、水の電気分解に必要な消費電力に対し、電力回収率が16%に達することが分かった。これまでの電力回収率に比べて5%向上した。しかし、まだ、余剰水素が放出されていることから更なる効率化を達成するためには複数の燃料電池を用いるか、余剰水素を再循環させて燃料電池に供給できるという知見を得た。このときに発生した酸素の流量は0.34 L/minであり、無声放電によりオゾンに変換し、そのオゾン濃度は1.78%の高濃度オゾンであった。この高濃度オゾンにより強力な殺菌浄化が可能であり、比較的大きな流量の水の浄化に適用できる。 本研究に対して先行する研究例がなく萌芽的研究であるため、これらの基礎特性の解明は学術的にも価値が高い。これらの成果は本研究の基礎をなすものであり、計画以上の進展と評価できる。しかし、更なる効率化の可能性があり、まだ検証できていないことから、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は電気的な省エネ化に注力し、燃料電池を用いた省エネルギー型非熱プラズマ水質浄化の電力回収について調べた。余剰水素を有効利用するために、今後の実験では水素吸蔵合金タンクで一時的に保存し、再び燃料電池に供給することで回収電力を増加し、電気的にエネルギー効率の向上を図る。また、電気的な省エネでは限界があることから、流体工学的な高効率化についても検討する。気液二相流の観点から、オゾン流量(=オゾン発生消費エネルギー)は変化させないで、オゾン気泡と水との接触面積と時間を増やし、細菌や化学物質の分解効率を向上させる。この流体力学的な改善によりエネルギー効率を向上し、1 W/hの達成を目標とする。特殊な外部装置を必要とせず、流れの中で自然発生可能な液相流せん断とキャビテーションを併用したマイクロバブル発生機構を構築する。オゾン気泡をマイクロバブルとすることにより、気泡の微細化と気泡数の増加のトレードオフの問題を解決する。次にオゾンのマイクロバブルと処理水との接触時間を長くすることのできる渦式または螺旋式の浄化リアクタを設計・構築する。処理対象水の液相流束とオゾンの気相流束の関係よりボイド率を算出し、ボイド率と溶存オゾン濃度、細菌や化学物質の分解効果の関係を明らかにする。殺菌効果の検証には風呂の残り湯、化学物質の分解効果の検証には水性インク溶液やメチレンブルー溶液を用いる。これら①と②の研究遂行し、適宜フィードバックしながら目的を達成する。最終的には実機レベルの水質浄化装置を開発し、試作機として試運転し、水質浄化性能を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
レーザー加工機が当初の予定額より安価に購入できたことにより生じたものである。研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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