研究課題/領域番号 |
22K04056
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
深見 正 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60247434)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 回転機 / モータ / 電気自動車 |
研究実績の概要 |
本研究では,幅広い運転領域において高効率で駆動でき,かつ永久磁石(PM)の使用数を半減できるEV向け可変磁束ハーフマグネットモータを開発する。開発するモータは,現在主流のPMモータとは異なり,回転子の磁極をPM極と鉄極で交互に構成し,固定子に設けた界磁巻線によって運転状態に応じて磁極から発生する磁束を最適化するものである。申請期間では,当該モータについて次の検討を行う。(1)有限要素解析(FEA)を用いて実験機を設計する。(2)設計した実験機を製作して原理の有効性を検証する。(3)数式によるモデル化を行い,適切な駆動技術を検討する。 【研究開始前の準備(研究計画調書作成時~令和4年度研究開始まで)】 令和4年度の研究では,開発するモータの実験機(以下,1号機と記す)を設計・製作した。1号機は,大学の実験室内で原理確認をし易いように出力800 Wのミニモデルとし,学生と手作りした。実験の結果,基本的な動作は確認できたものの,巻線と鉄心間の絶縁不良などが生じて原理の有効性が十分に検証できなかった。 【令和4~5年度】 令和4年度は1号機の問題点を改良した2号機を設計・製作し,その電磁気特性を詳細に検討した。また,開発するモータの優位性を明らかにするために,既存のPMモータとFEAにより比較した。結果として,開発するモータは,既存のPMモータに比べて高負荷時には界磁巻線により磁極から発生する磁束を増加させると既存のPMモータに匹敵するトルクが得られ,高速回転時には界磁巻線により磁極から発生する磁束を減少させることで運転範囲の拡大と効率の向上が図れることが分かった。令和5年度の研究では,透磁率分布固定(FP)法を用いて開発するモータのトルクを発生起源別に分解し,その発生メカニズムに加えて駆動制御に重要なモータ定数の特性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
製作した2台の実験機(1号機及び2号機)を用いて,計画より早めに検討中のモータの基本特性に加えて,その有効性,駆動制御に必要な定数などが明らかにできた。得られた成果は,すでに学会(講演発表,学術論文)で発表し,同分野の技術者・研究者から評価を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(令和6年度)は,最終年であり,検討中のモータの技術課題などを明確にして,それらの改良策などを検討する。得られた成果は,学会(講演発表,学術論文)などで発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,当初,主に成果発表の費用として利用する予定であったが,コロナ禍であり,学会がリモートでの開催であったためである。 次年度は,いただいた費用を,成果発表だけでなく,実験消耗品などに有効に活用したい。
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