研究課題/領域番号 |
22K04057
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研究機関 | 大同大学 |
研究代表者 |
浦井 一 大同大学, 工学部, 教授 (50912094)
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研究分担者 |
小島 寛樹 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00377772)
沖野 晃俊 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (60262276)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大気圧プラズマ / 高電圧絶縁材料 / 樹脂表面改質 |
研究実績の概要 |
本研究では,大気圧プラズマジェットを金属や樹脂に照射することで,親水性・疎水性のコントロールが可能であることから,プラズマ処理により,樹脂材料表面の電気的特性のコントロールに着目した。高電圧機器で用いられる絶縁材料に関して,プラズマ処理により辺面耐電圧特性と,帯電のコントロールが可能か調査することを目的としている。新しく立ち上げたテーマであり,今年度は,大気圧プラズマ発生装置の製作,プラズマ特性計測システムの構築,絶縁材料表面状態観測システムの構築,電気的特性計測方法の調査・検討を行った。以下に得られた主な結果を示す。 1. 電源にインバータ式のネオントランスを使用した9kVの高電圧電源を製作し,コンプレッサーを用いて昇圧した作動ガスをプラズマジェット部に導入して,低温プラズマを生成可能とした。ガス流量を調整可能なシステムとして,ガス流量とプラズマ発光特性を調査し,樹脂材料へのプラズマ照射条件を決定した。 2. 分光計測装置を導入し,ガス流量および作動ガス種(O2, N2, CO2, Ar, Air)をパラメータとしたプラズマの発光特性を測定した。 3. 被照射試料の表面観測のため,微量の精製水を滴下して接触角を測定可能な,材料表面の濡れ性計測システムを構築し,プラズマ照射後の絶縁樹脂材料の表面観察を可能とした。 4. 電気的特性として,表面抵抗測定および帯電量の測定方法を調査し,JIS規格に沿った体積抵抗測定および,針電極に高電圧を印加させる帯電測定方法を用いることを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気圧プラズマジェット装置を製作し,樹脂材料へのプラズマ照射実験を開始した。プラズマを照射した樹脂の濡れ性の計測を計測できるシステムを構築し,表面状態と電気特性の相関を調査できるようにした。電気特性として,表面抵抗と帯電量の測定の測定方法を決定した。
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今後の研究の推進方策 |
大気圧プラズマ照射により樹脂表面特性をコントロールする条件を実験により求める。実験で表面濡れ性に変化がみられるサンプル樹脂を抽出して,プラズマ処理が電気的特性を変化させる条件を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
プラズマ装置の製作費として,消耗品であるプラズマヘッドを複数個作成する計画であったが,消耗度合いが低く,当該年度での追加制作を見送った。次年度に実験結果を考慮して,プラズマヘッドの構造を改良する計画であり,次年度の請求額に加えて,装置製作費として使用する。
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