研究課題/領域番号 |
22K04078
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研究機関 | 静岡理工科大学 |
研究代表者 |
土肥 稔 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (80247577)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | レドックスフロー電池 / バナジウム / 酸化還元 / 太陽電池 / 再生可能エネルギー / 蓄電 |
研究実績の概要 |
2022度の研究目的は,ノンフロー化の準備段階としての,現行レドックスフロー電池の問題点の改善と太陽光パネルを用いた実証実験の準備であった。改善点としては,①集電板の溶解防止,②電解液の還元の2つに絞って研究を行った。①は,双極板に浸透した電解液による集電板(銅板)の腐食を防止するため,集電板に金箔を貼り付ける方法と,集電板の中央部を除去した枠型集電板を用いる方法を試した。枠型集電板を用いた場合,電池の内部抵抗が若干増加したが,どちらの方法においても,集電板の腐食を防止できることが分かった。②は,4価からスタートした際に余分に生成する5価の電解液を還元する装置の開発・作製・動作確認であった。電解液還元装置は,単層のレドックスフロー電池とほぼ同じ構造とし,正極には希硫酸を用い,負極にバナジウム電解液を用いた。この装置を用いてバナジウム電解液を5価→4価→3価と還元することに成功した。しかし,正極で発生する酸素により炭素系の電極は著しく消耗することが分かった。また,4価→3価の注入電荷量に対する電解液の電位を測定し,理論計算を行った結果と比較したところ,実験値と理論値がよく一致することが分かった。 実証実験の準備としては,4層6 Vのレドックスフロー電池を作製し,太陽光パネルを用いた充電実験を行った。使用したパネルの充電電流は4Aであり,正極負極それぞれの電解液を3Lとした場合,約3時間の充電が可能であることが分かった。この実験により,現行の装置では,充放電を繰り返すことにより電解液の酸化が進み,蓄電できる電気量が徐々に減少することが分かった。また,若干ではあるものの,イオン交換膜を通して,正極から負極に電解液が移動することも判明した。酸化した電解液は,電解液還元装置で還元し,再利用することで,蓄電できる電気量を元に戻すことが可能であることも分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究室のレドックスフロー電池で大きな問題点であった集電板の溶解と電解液の還元については,解決することができた。あとは電解液の移動についてであるが,これは,現時点では,イオン交換膜の今後の進歩に期待するしかないと考えている。また,電解液の電気分解による炭素系双極板の劣化の問題が残っているが,これは過充電を防止することで,ある程度は解決できると考えている。 実証実験の準備も順調に進んでいる。まだ,4層の電池ではあるが,電解液の酸化や電解液の移動という問題点も発見できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,2023年度は,引き続きレドックスフロー電池の実証実験を行う。現行の4層6 V,電極面積400 cm2よりも,大きな電池(8層12 V,電極面積900 cm2)による実証実験を試みる予定である。この場合,電解液も3 Lから10 L以上となる予定である。 また,ノンフロー化の可能性についても検討する。具体的には,電解液の高濃度化について検討する。また,その際の問題点について洗い出す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
R4年度は,消耗品の購入をぎりぎりに抑えることで,12万円ほど次年度に繰り越した。次年度は,中型レドックスフロー電池のセルの層数を増加し,また,実証実験に使用する太陽光パネルの枚数も増加させる予定であり,そのため,電解液の追加購入が必要となる。電解液は比較的高価な消耗品であり,100L購入すると購入代金は30万円程度掛かる予定である。また,セル数を増やすことで,イオン交換膜,カーボンフェルト等の消耗品も必要となり,R4年度と同様,これらの購入も予定している。
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