研究課題/領域番号 |
22K04080
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
藤崎 敬介 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80373869)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リンギング現象 / 損失計測 / GaN-FETインバータ / LCフィルター |
研究実績の概要 |
将来のパワーエレクトロニクス回路の半導体材料として研究開発され実用化し始めているGaN, SiCの素子は,nsecレベルの高応答であるために,そのインバータでモータを駆動させると3-30 MHz程度のリンギング現象が発現しモータ鉄損の増加を招く.そこでリンギング鉄損を低減すべくLCフィルターを設置することを考えると,フィルター効果を総合的に評価する必要がある.本研究ではインバータ損,インダクタ損・フィルター損,負荷の鉄損・銅損を計測し,全体の損失効果・要因分析とインダクタ・高周波磁性材料の特性について研究する. リンギング現象を詳細に把握するために,立上り波形を計測した.すると,入力電圧 v_inにはリンギング現象が現れていないが,出力電圧 v_out, 入力電流 i_in には同じ周波数のリンギング現象が発現しており,リンギングの周波数がインバータによらず同じ約5 MHzであった.リング試料を別途インピーダンスアナライザで計測してみると,5 MHz, 16.5 MHz, 27.8 MHzに共振化粧が現れている.このため次のことが言える.1.kHz帯は,負荷共振周波数帯ではなく,vinは発生してもiinは生じず,電磁誘導作用vout,は生じないので,インバータ・半導体起因といえる.2.MHz帯は,vinは生じず,負荷共振によりiinが生じ,その結果voutが発生したと考えられるので,負荷起因といえる.3.Iinで鋼板に渦電流が生じるので,インバータ・半導体起因では鉄損増加は生じず,鉄損増加は,負荷共振起因といえる. これによりリンギング鉄損低減をめざし,高周波磁性材料の開発指針提示につなげる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
将来のパワーエレクトロニクス回路の半導体材料として研究開発され実用化し始めているGaN, SiCの素子は,nsecレベルの高応答であるために,そのインバータでモータを駆動させると3-30 MHz程度のリンギング現象が発現しモータ鉄損の増加を招く.そこでリンギング鉄損を低減すべくLCフィルターを設置することを考えると,フィルター効果を総合的に評価する必要がある.本研究ではインバータ損,インダクタ損・フィルター損,負荷の鉄損・銅損を計測し,全体の損失効果・要因分析とインダクタ・高周波磁性材料の特性について研究する. これまで構築してきた詳細な計測システムを用いて,まず,リンギング現象を解明した.その結果,リンギング現象は回路・デバイス起因と負荷起因とに分解することができ,負荷の損失を増大させるのは,負荷起因のリンギング現象であることを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
リンギング現象を計測する高分解能な計測システムをもとに,GaN-FETインバータ励磁化のリング試料を用いて, LCフィルター接続時の電磁気現象の解明および損失現象の解明を研究していく予定です.
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次年度使用額が生じた理由 |
小型圧縮機や波形発生器といった物品費が廉価で購入できたため.磁気学会などの新たな学会発表に使用予定
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