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2022 年度 実施状況報告書

無毒で豊富な元素で構成される新規硫化物熱電素子の電極形成

研究課題

研究課題/領域番号 22K04081
研究機関津山工業高等専門学校

研究代表者

中村 重之  津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 教授 (80207878)

研究分担者 赤木 洋二  都城工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (10321530)
荒木 秀明  長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (40342480)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード三硫化二銅スズ / 熱発電素子 / 電極 / アルミニウム / 熱電
研究実績の概要

本研究では,資源存在量が多く毒性の低い元素で構成されている三硫化二銅スズ(以下CTS)を用いた熱発電素子の開発を目指している.CTS熱発電素子の研究は国内外共に材料開発に偏っており,電極開発などの研究は行われていない.そこで電極と素子を同時に作製する方法を採用し,素子に硫黄を含むので電極材料(金属)が硫黄と反応しないような原料や条件を見出すことでCTS熱発電素子の実用化へ向けて第一歩となる電極を形成することを目指した.
モル比で1:1に計量したCu2SとSnS2にCuSとIn2S3を0.4及び0.1追加した原料を450℃と750℃で2時間ずつ加熱しCTSを合成した.得られたCTS粉体を,放電プラズマ焼結法(SPS)にて400℃,40MPaで焼結し熱電素子を作製した.焼結の際,CTS粉体の上下に電極材料となる金属粉末を追加した.
電極用金属としてモリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),スズ(Sn),アルミニウム(Al),銀(Ag),亜鉛(Zn)の同時焼結を試みた.MoとWは焼結できなかった.Cu, SnおよびZnはCTSに拡散していき電極として残らなかった.AgはCTSとの界面で剥離が生じることがあった.これらの中ではAlが同時焼結法にて電極を作製するのに最適であることが分かった.電子顕微鏡の観察では,Al電極とCTS熱発電素子の間に中間層のようなものは見られなかった.そのため,顕微ラマン測定は行っていない.さらに300℃まで熱して素子及び電極の観察を行ったが変化はなく,剥離したり界面にクラックが入ったりすることもなく安定していた.接触抵抗は2.76Ωcm2が得られた.熱電特性では,ゼーベック係数が200-300μV/K,電気伝導率が2000 S/m程度で会った.電極を形成することには成功したが,接触抵抗が非常に高いため,その低減が課題であることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

1年目の目的である,①同時焼結できる電極材料の探索(スクリーニング),②界面の結晶構造等の解明,③接触抵抗の測定が達成でき,さらに2年目の目的の一部である②-2加熱試験による熱的機械的安定性の確認もできたので,この評価とした.

今後の研究の推進方策

電極の接触抵抗が高かったので,それを低減することを行いたい.そのための手法としては,電極とCTSの間に緩衝層を設けることを考えている.緩衝層としては,アルミとCTSの粉体を混合したもの(混合層)や硫化銅,硫化スズなどの硫化物を予定している.
測定に関しては,高温ラマン散乱を予定通り,行っていきたい.これらの測定から,試料に関するより詳細な情報が得られるため,それをもとに,より高性能な素子が作製できる条件を探って行きたい.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 簡易な方法で合成したCu2SnS3の熱発電素子への応用2022

    • 著者名/発表者名
      中村重之,荒木秀明,赤木洋二
    • 学会等名
      2022 年度多元系化合物・太陽電池研究会 年末講演会

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公開日: 2023-12-25  

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