研究課題/領域番号 |
22K04086
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
安達 宏一 電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 准教授 (50789914)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 無線通信システム / チャープスペクトラム拡散 / IoT / 無線リソース割当 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、低レートのデータ伝送に適したチャープスペクトラム拡散(CSS)を用いた省電力広域ネットワーク(LPWAN)の高度化を目的とした検討を行う。無線環境に応じて、CSS変調に用いられるチャープインデックス空間を適応的に互いに直交する部分空間へと分割し、各端末の無線環境や情報ビット数に応じて部分空間を割り当てることで、より多くの端末をシステム内に収容可能とする技術を確立することを目的とする。最終的には、複雑な処理を行えない安価な端末に対して計算処理などの負荷をかけることなく、現在のシステムと比較して周波数利用効率を向上でいることを計算機シミュレーションにより明らかにする。
研究初年度である今年は、提案するチャープインデックス空間分割の基礎検討と、その応用に関する検討を行った。具体的には、研究代表者らが以前より提案しているパケット型インデックス変調を用いるLPWANシステムにおいてチャープインデックス空間分割を導入することにより従来方式と比較して、平均シンボル誤り率特性を改善できることを計算機シミュレーションにより明らかにした。さらに、将来的な他システムとの周波数共用も想定し、同一周波数帯を用いて無線電力伝送を行うシステムが存在する環境における干渉モデルの数学的モデル化、そのモデルに基づく他システムからの干渉を除去する手法についての提案した。これらの研究成果は、国内の研究会ならびに国際的な論文誌において発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実績概要にも記述されているとおり、研究計画通りの進捗であり、十分な研究成果が得られていると判断できる。当該年度の研究遂行により今後取り組むべき新たな問題点や改善案なども見つかっているため、順調な進行状況であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
同期環境時には、異なるチャープインデックス部分空間を選択した端末同士は直交する。一方で、異なる部分空間を選択した端末同士の信号が非同期的に受信された場合には、直交するチャープインデックス部分空間間で干渉が生じることがわかっている。そこで、それらの干渉を考慮した信号検出法などの検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は、順調に研究を遂行したが、想定以上に基礎的な部分での詳細な検討が必要であることが分かり、複雑なシステムでの評価は令和5年度以降に遂行することとした。そのため、令和4年度に購入予定だった計算機シミュレーション用サーバの購入を令和5年度へと変更した。また、想像より多くの研究成果が得られたため、学会での口頭発表ではなく国際論文誌への投稿へと切り替えたため、旅費を削減できた。令和5年度に繰り越した助成金に関しては、請求済みの令和5年度分と合わせて、・計算機シミュレーション用サーバの購入、・国内研究会/国際会議の旅費、・研究補助員雇用費として利用する予定である。なお,今回の助成金の仕様変更による研究遂行への影響はないものと判断する。
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