研究課題/領域番号 |
22K04102
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
岡本 英二 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10358963)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 電波暗号化 / IoT通信 / 物理層秘匿性 / 多元接続手法 / サイバーフィジカルシステム / カオス通信 |
研究実績の概要 |
本研究はサイバーフィジカルシステムにおいてボトルネックとなっているIoT端末などのフィジカルシステムからのセンサーデータの無線通信によるクラウドへの伝送,及び逆方向のサイバーシステムからのアクチュエーションデータのIoT端末への無線フィードバック伝送の容量不足を解決し,同時にIoT通信の課題であるセキュリティ向上を両立させる技術の構築を目的としている.その技術として我々は物理層秘匿性を有する電波暗号化変調を提案しており,これをIoT通信に適用して容量拡大と通信安全性向上を実現する. 今年度はまず昨年度の成果を取りまとめ,外部発表として複数の査読有学術論文として出版した.具体的には電波暗号化変調方式の高品質化技術,共通鍵の伝搬路情報を用いた共有手法,実験による実証である.この内,電波暗号化変調方式の有線伝送実験による実証の論文は評価が高く,電子情報通信学会通信ソサイエティ論文賞を受賞することになった.また変調方式のマッピング機構改善と,多次元化による高品質化技術を新たに提案し外部発表を行ったさらに6G技術の展望についての解説論文と基調講演も行い,本研究を含めたBeyond 5G・6Gの非地上通信及び非線形最適化問題等についての紹介を行った.一方,当初の実施期計画にあった,センシング通信における大規模な暗号化アクティブユーザ検出および伝搬路係数同時算出手法の構築については検討中の段階であり,当該年度内の成果の外部発表に至らなかった.こちらをさらに進めたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外部発表を含め概ね計画していた内容を進めることができているため.センシング通信における大規模なアクティブユーザ検出および伝搬路係数同時算出手法についてさらに進める必要があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
多元接続手法のさらなる性能向上及びユーザ検出手法について,論文出版,実用化に向けて必要な技術の検討に進める.多次元化技術の性能向上効果が大きいため,その発展に関する検討も継続したい. また,成果を継続的に学術論文として出版し技術を社会に還元するとともに,パートナー企業とともに標準化技術への提案について模索を行う.電波暗号化多元接続手法の接続数大規模化とアクティブ送信端末検出技術についての検討をさらに進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費と英文校閲費の一部を別予算により実施したため.また論文掲載費について論文投稿が年度をまたいで後ろ倒ししているため.学術論文出版や外部発表により計画通りに進めるよう調整する予定である.
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