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2022 年度 実施状況報告書

複数波長シア干渉計とコンピュータトモグラフィーよる混合気体の三次元密度分布計測法

研究課題

研究課題/領域番号 22K04117
研究機関北海道大学

研究代表者

富岡 智  北海道大学, 工学研究院, 教授 (40237110)

研究分担者 山内 有二  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80312388)
宮本 直樹  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00552879)
松本 裕  北海道大学, 工学研究院, 助教 (40360929)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード三次元計測 / シア干渉計 / トモグラフィー / 混合気体密度 / 複数波長
研究実績の概要

火炎の燃焼効率の改善,あるいは大気圧プラズマの医療や農業への応用では,複数の粒子種を含む混合気体の各粒子種の密度の三次元分布の把握が重要である。本研究では,これを計測するために,入射方向を可変とする干渉計を用いて異なる波長に対する複数方向からの干渉縞画像を計測し,コンピュータトモグラフィー(CT)によりそれぞれの波長に対する屈折率の三次元分布を再構成し,それらから三次元粒子種密度を算出する方法を提案している。特に,複数方向からの投影データを振動に強いシア干渉計により取得しようとする点が本研究の特徴である。
今年度は,主に,CT による測定方法の検討と,シア干渉計の干渉縞解析のアルゴリズムの検討を行った。一般にCTによる再構成では,全方向からの投影データが必要であるが,干渉計の場合,容易ではなく,一部の範囲の投影データが欠落してしまう。この一部の欠測角度の中に,測定体系の工夫により固定の方向の投影データを追加し,それを再構成に利用すると大幅に再構成の精度があがることが知られている。特に追加した固定方向の投影データを再構成時に重視できる重みつき再構成アルゴリズムが有効であることが知られていたが,本年度は,この重みの与える影響を評価し,重みを与える指針を導いた。
シア干渉計は,投影方向を変えた際の振動の影響を受けにくいが,測定される干渉縞画像は物体光の波面自身ではなく,物体光の一種の微分画像に相当するため,干渉縞画像から物体光の波面を再生するための処理が複雑となり,従来提案された方法では,高精度の波面再生には2次元問題の場合は4枚の微分画像が必要であった。この処理について,新たに 2枚で二次元再生が可能な手法を提案し,その有効性が確認できた。
また,干渉縞から波面の微分画像を求めるアルゴリズムも高雑音の場合でも,解析できるものを開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

この研究では複数波長による屈折率分布の測定手法の実証を目的としている。ハード面では複数波長の干渉画像の計測システムと,実証のための測定対象の検討が必要である。ソフト面では,三次元の屈折率分布を求めるための,シア干渉計により取得される干渉縞から微分波面の抽出,微分波面からの波面再生,複数方向からの波面を入力として三次元の屈折率分布を再構成するアルゴリズムが必要となる。
ハード面については,複数波長の干渉画像から,それぞれの波長の干渉画像を分離することが問題となっていたが,実験により容易に分離できることが判った。また,CT再構成のための複数方向からの干渉縞計測システムの確立はほぼ完了している。
ソフト面については,微分波面の抽出において高雑音の画像でも抽出可能となり,屈折率の三次元再構成における重みの指針も得られた。一方,シア干渉画像からの波面再生アルゴリズムについては一部は順調であるが,当初当初予想していなかった新たな課題が浮上して来た。これを解決するための新たなアルゴリズムの検討中である。
その影響で,ハード面の実証用の実験体系の検討と構築が遅れ気味である。

今後の研究の推進方策

ソフト面については,新たに浮上したシア干渉画像からの波面再生の課題を解決するためのアルゴリズムの検討を行う。ハード面については遅れ気味の実証のための実験体系の検討を急いで行う。これ以外については,当初の予定どおり進める。
2年目(新年度)は,当初1年目に予定していたバーナ火炎による測定データの取得に加え,2年目予定の大気圧プラズマの測定データの取得を行う。波長毎の粒子種毎の屈折率依存性については,2年目中に調査終了を目指す。シア干渉計の波面再生アルゴリズムの開発状況にも依存するが,必要であれば,シア画像生成に回折格子の利用の検討も行う。
最終年度に,これらの測定体系,測定対象,アルゴリズムの各要素を組合せこの測定手法の有効性を実証を目指す。

次年度使用額が生じた理由

主な未使用予算は物品費であるが,その理由は当初予定していた物品の在庫がなかったため,選定し直していること,実験装置の作成については予定より遅れていることが主な理由である。いずれも2年度目(新年度)に使用の予定である。
新年度の導入予定の物品費は,カメラ,レーザ,高圧電源,ノートパソコン,および消耗品の He ガス,電気回路部品,光学部品である。旅費は国内旅費,その他としては論文の英文校正ならびに投稿料を予定している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Localized compensator phase unwrapping algorithm based on flux conservable solver2022

    • 著者名/発表者名
      Heshmat Samia、Tomioka Satoshi、Nishiyama Shusuke、Hirokami Arata
    • 雑誌名

      Journal of Computational Science

      巻: 62 ページ: 101752~101752

    • DOI

      10.1016/j.jocs.2022.101752

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Technical note: Performance evaluation of volumetric imaging based on motion modeling by principal component analysis2022

    • 著者名/発表者名
      Asano Suzuka、Oseki Keishi、Takao Seishin、Miyazaki Koichi、Yokokawa Kohei、Matsuura Taeko、Taguchi Hiroshi、Katoh Norio、Aoyama Hidefumi、Umegaki Kikuo、Miyamoto Naoki
    • 雑誌名

      Medical Physics

      巻: 50 ページ: 993~999

    • DOI

      10.1002/mp.16123

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Monte Carlo Simulation of D-D Neutron Emission Rate in NBI-Heated Deuterium Plasma of LHD2022

    • 著者名/発表者名
      Yutaka MATSUMOTO, Takafumi HOMMA, Ryosuke SEKI, Masaki OSAKABE
    • 雑誌名

      Plasma and Fusion Research

      巻: 17 ページ: 2403060 1-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 重み付きCTの悪条件問題における再構成の評価2023

    • 著者名/発表者名
      紙谷 究, 富岡 智, 山内 有二, 松本 裕,東 直樹
    • 学会等名
      日本原子力学会北海道支部第40回研究発表会
  • [学会発表] Monte-Carlo Analysis of Triton Produced by D-D Fusion Reaction in NB-injected LHD Plasma2022

    • 著者名/発表者名
      Y. Matsumoto, T. Homma, R. Seki, M. Osakabe, K. Ogawa, and M. Isobe
    • 学会等名
      The 31st International Toki Conference on Plasma and Fusion Research
    • 国際学会
  • [学会発表] LHDの重水素プラズマにおいてNB入射による核融合反応で生成された三重陽子の速度 分布関数2022

    • 著者名/発表者名
      松本裕, 本間崇文, 關良輔, 小川国大, 長壁正樹, 磯部光孝
    • 学会等名
      日本物理学会 秋季大会

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公開日: 2023-12-25  

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