研究実績の概要 |
本課題では、三つの研究課題に相補的に取り組む.一つ目は気象レーダの固有の欠点を解決する鉛直方向の分解能の向上を目的として,新たな適応信号処理を検討し,実用可能なディジタルビームフォーミング手法として発展させる.二つ目はレーダ雨量と地上降水量との誤差を最小化するために、欠点である水平方向の地上雨量計のデータ点の不足を信号処理技術の圧縮センシングや機械学習を応用した信号処理アルゴリズムを用いて空間的に補間(予測)するアルゴリズムの開発を行う.三つ目はレーダ雨量の高精度化を目的としてレーダデータから雨量に変換する際の関係式(Z-R関係式)をリアルタイムに更新するアルゴリズムの開発を行った。逐次的に最適なパラメータを導出する新たな降雨強度推定手法の提案と, 従来手法との比較検証を行い提案手法の評価を行った. 解析事例において, 提案手法は, 地上降水量との誤差が低く, 0.76[mm/h]高精度に推定できることを示した.また, 新型雨量計開発の初期検討を行なった. 本研究では雨量計の簡易化・高時間分解能が達成された. 実験事例において, 降雨強度と新型雨量計の降雨強度との間に非常に強い相関関係があった.さらに、豪雨検知の防災への利用を目的として,豪雨などの災害を起こしうる降水強度の閾値への到達を予測した。そのために,本研究では MP-PAWR 観測データに対して機械学習を用いた豪雨予測アルゴリズムを提案し,MP-PAWR で観測される積乱雲の鉛直構造を降水セル毎に抽出し,積乱雲単位で豪雨予測を行うアプローチによって,局地的な対流性降雨を予測する手法を開発した。
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