研究課題/領域番号 |
22K04134
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田原 麻梨江 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (60721884)
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研究分担者 |
平田 慎之介 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (80550970)
石河 睦生 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 講師 (90451864) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 等圧縮性疲労 / 超音波 / エラストグラフィ / 筋肉 / 弾性計測 |
研究実績の概要 |
近年,顎関節症の患者数は十数年で増加しており、 歯の食いしばりが起因している。顎関節症患者は,咬筋が硬く凝り固まっているという特徴が見られるが、咬筋の硬さ計測法が確立されていないため、「歯の食いしばりと咬筋の硬さとの関係」は未解明である。本研究では、超音波を用いて、咬筋の硬さ、すなわち弾性を測定する手法を確立することを目的とする。 超音波デバイスを体表に接触させ、集束超音波を生体内に照射する。音の非線形現象によって、焦点位置に力が加わり、局所的に変形する。変形によって横波が発生し、伝搬する。横波を超音波デバイスで測定して、横波速度の分布を得る。硬い程、横波速度が大きくなる。
本年度は、まず、横波速度の分布測定に適した、超音波デバイスの配置について検討を行った。まず、横波を精度よく測定するために厚み2cmの寒天を超音波デバイスと皮膚との間に挿入するジグを製作した。また、被験者による被験者実験で咬筋の線維方向とと横波の伝搬方向との関係を調べた。その結果、線維に沿った方向で横波を伝搬させた方が、均質な速度分布が得られることがわかった。また、急性と慢性の筋疲労を模擬するため、等尺性筋収縮前後の弾性特性の変化について検討した。20代の健康な被験者10名に対して、ある一定の咬合力で一定時間噛み締めを行うタスクを実施した。その結果、慢性疲労を模擬した場合には、優位に弾性が増加することを明らかにした。本研究の発展により、顎関節症をはじめ咀嚼筋痛を伴う疾患の機序解明、さらには診断や治療に対する本法の応用の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の実験結果から、超音波エラストグラフィで、筋疲労による弾性変化の検出に成功しており、引き続き検討を行うことで、最終年度には患者での臨床評価が可能であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は一定咬合力による等尺性運動によって疲労を模擬した。今後は咀嚼運動などの別の運動によって疲労を模擬した場合の弾性変化の検討など、咬筋の疲労と弾性の関連に関してさらなる検討が必要である。また、マッサージによる筋肉弾性の減少についても並行して検討を進める。さらに、測定位置や咬筋周辺の血流との関係を明らかにする。最終的には、顎関節症患者での臨床評価を行う予定であり、これに向けた検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加の旅費が予定よりも少なくなったため。次年度に旅費として利用予定である。
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