研究課題/領域番号 |
22K04143
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
小山 長規 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10336802)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 光ファイバセンサ / イーサネット / Ethernet / 長周期光ファイバグレーティング / LPFG |
研究実績の概要 |
研究実施計画に照らし、次の(1)~(2)を中心に研究を実施した。 (1) 光ネットワーク基盤型光ファイバセンサシステムの計測温度範囲の拡大: 出力波長の異なるEthernet用光トランシーバを用いることで計測対象の温度域を変更できるという機能性を利用した、光スイッチと多数波長を用いたEthernet基盤型センシングシステムを提案した。また、計測温度に関する実証実験を行い、波長多重された4波長を用いることで約60℃~660℃の範囲を計測できることを明らかにした。また、氷点下の温度域に対しても基礎的な実証実験を行い、1波長で約-30℃~-85℃の範囲を計測できることを明らかにした。 (2) ネットワーク仮想化技術の蓄積とウエブシステムの高機能化: 本研究が対象とする温度計測システムの基盤となる光ファイバネットワークの簡素化、ネットワーク管理者の負荷軽減を目的とする仮想化技術を蓄積した。仮想化技術の一つであるOpenFlowをシングルボードコンピュータに搭載して、これとネットワーク装置及びウエブサーバと連携させ、マルチベンダ環境におけるネットワーク設定のための共通インターフェースを構築した。さらに、共通インターフェースの冗長性機能を実装することで高機能化を進めた。 本研究に関連した研究発表2件が、国内の研究発表会(令和4年度電気関係学会関西連合大会)に高く評価され、受賞(電子情報通信学会関西支部優秀論文発表賞、連合大会奨励賞)した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の研究実施予定であった、(1)光ネットワーク基盤型光ファイバセンサシステムの計測温度範囲の拡大と(2)仮想化技術による光ネットワークと光ファイバセンサの融合技術の蓄積、に関しておおむね順調に成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の成果を踏まえて2023年度は次の項目に重点を置き研究を進展させる。 (1) 光ネットワーク基盤型光ファイバセンサシステムの計測温度範囲の拡大: 光スイッチだけでなく光カプラを用いて出力波長の異なる複数のEthernet用光トランシーバと組合わせることで、氷点下から高温の計測限界と考えられる800℃程度までの温度計測を目指す。 (2) システムの低コスト化: 光ファイバセンサの配置場所を変更することで、各計測対象場所に必要な構成機器を減らすことでシステムの構築コストの低減を目指す。また、温度評価に必要なコンピュータとして、安価なシングルボードコンピュータを用いることでシステムの低コスト化を目指す。 (3) システムの高機能化: 仮想化機能を搭載するシングルボードコンピュータ、ネットワーク装置、ウエブサーバなどの機能連携を推進することによってシステム全体の可用性を向上させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 2022年度に、ホワイトボックスとネットワークOSの購入を予定していたが、これらの購入を見送ったことが次年度使用額が生じた理由である。ホワイトボックスとネットワークOSを用いることなく、非常に安価なシングルボードコンピュータ上で仮想化の基本機能を実装することに成功したため2022年度での購入を見送った。ただし、今後の研究の進捗によりホワイトボックスとネットワークOSが必要となる場合がある、と現在は想定している。 (使用計画) 2023年度の研究計画に基づき、実証実験用のネットワークで用いるパケット交換装置、光ファイバ、光トランシーバ、接続用アダプタ、消耗品などを購入する予定である。また、シングルボードコンピュータや、電子工作用の部品を購入する予定である。さらに、研究成果の発表、研究関連の情報を収集するために予算を使用する予定である。
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