研究課題/領域番号 |
22K04151
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森田 亮介 岐阜大学, 工学部, 准教授 (00713801)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 量子化制御 / ネットワーク化制御システム / ディザリング |
研究実績の概要 |
本研究では,低解像な制御入力を用いて高精度な制御性能を実現する量子化制御の方法の一つであるディザリング技術,すなわち,本来の信号に意図的にノ イズのような信号を付加する手法について,制御対象の未来の状態を事前情報から予測し,制御入力の解像度を落としても,最も制御性能が低下しないディザリングの方法を考案することを目的としている. 2022年度では,高次の制御系に対する数値最適化を用いたランダムディザ量子化器の検討を行った.以前より進めていた方法において,制御系の1ステップ未来の出力を制御系のモデルに基づいて予測し,その未来において量子化の影響が少なくなるようなディザ信号を生成・付加することで,低解像度の入力信号を実現していた.しかしながら,2次以上,すなわち現在の入力が2ステップ以降の未来の出力に影響を与えるようなシステムでは,この方法では制御ができなくなることがあることは,ほぼ自明である.従って,高次のシステムにおいて2ステップ先以降の出力も同時に予測し,適当な時間区間の未来の出力が,解像度を落とさずに制御した場合と最も近くなるようなディザ信号を意図的に生成し,ディザリングを行うことで,低解像度の入力による制御を実現した.具体的には,4次のシステムであれば4ステップ先というよに,制御系の次数と等しい未来のステップ数まで予測することで,解像度の低下による制御性能の影響を少なくできることを,数値実験ベースで確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論の構築と平行して,実機実験を主体とした方法で,低解像度の入出力信号による制御の新たな方法ができないかという点についても検討を行っていたが,実験装置のトラブルにより,その方向で進めることは困難になった.また,そのトラブル対応のため,理論ベースで進めていたほかの進捗状況にも影響があった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の結果は,未だ数値例ベースで示すにとどまっているため,理論的な保障を与えることが必要不可欠である.また,高次のシステムにおいては,システムの状態変数が多次元であるため,状態変数の変動幅が異なる場合に,小さな変動で出力に大きな影響を与える状態変数が含まれていると,量子化の影響が大きく出力に現れることがあることを確認している,そのため,システムの振る舞いに応じた重み付けをした最適化の導入を検討している.
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