研究課題/領域番号 |
22K04176
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐藤 昌之 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (90358648)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オブザーバ / オブザーバ構造型制御 / オブザーバベース制御 |
研究実績の概要 |
当初の計画通り,2022年度に予定していた「パラメトリックな不確かさを含む『実用システム』を対象に,安定化問題を包含する高精度制御問題に対して,既存の制御アルゴリズム から Luenberger オブザーバの表現形式を包含する推定アルゴリズムを組込んだ制御アルゴリズム(オブザーバ構造型制御アルゴリズムと呼称)への変換」の手法開発を実施し,線形行列不等式を用いた定式化を行った.また,その有効性をすでに報告されている飛行制御アルゴリズムに適用し,有効性および有用性を示した. なお,これらの成果は,IFAC ROCOND 2022 および IEEE CDC 2023 にて報告済みである. その後,当初は2023年度に予定していた「パラメトリックな不確かさを含む『実用システム』に環境変化パラメータを追加した『応用システム』を対象に,既存制御アルゴリズムからオブザーバ構造型制御アルゴリズムへの変換」の手法開発を実施し,同様に,線形行列不等式を用いた定式化が可能であることを示し,その具体的な変換方法も示した. さらに,飛行実験により制御性能が実証されているゲインスケジュールド飛行制御アルゴリズムをオブザーバ構造型制御アルゴリズムへ変換することで,非常に精度高く制御デバイスの推定が可能であることを数値シミュレーションにより確認した. これらの成果の一部は第65回自動制御連合講演会にて報告済みであり,現在,全ての結果をまとめた原稿を現在作成中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では2023年度に実施する予定だった内容の一部が,2022年度内に実施できたため.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に定式化が達成され,かつその有効性・有用性が確認された「応用システムに対するオブザーバ構造型制御アルゴリズム」に関して,より多くの数値シミュレーションによる実用性検証を進める予定である. また,研究応募時とは異なる組織へ異動したことから,飛行実証に関して宇宙航空研究開発機構と相談を行い,飛行実証の可能性を検討する. なお,理論的展開については,線形制御の枠を超えていることから制御性能が線形アルゴリズムより高いとされている「スライディングモード制御」からオブザーバ構造型制御アルゴリズムへの変換について研究を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加した国際会議が COVID-19 の影響によりオンライン開催になるなどの事情から,旅費使用額が想定より少なくなった.2023 年度は,ほぼ影響がなくなると考えられ,想定通りの旅費が必要となる予定である.
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