研究課題/領域番号 |
22K04186
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐道 泰造 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (20274491)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 半導体 / 結晶成長 / トランジスタ |
研究実績の概要 |
集積回路のさらなる高性能化(高速化,省電力化)には、新しい三次元トランジスタが有用である。本研究では、申請者が保有する「絶縁膜上におけるIV族半導体の固相成長」に関する独自シーズ技術を基に、絶縁膜上における極薄半導体膜の固相成長の学理体系を構築し、絶縁膜上の所定の位置に大粒径を有する極薄Ge結晶を形成する手法を開発する。これにより、三次元トランジスタの基盤技術を創出する。 本年度は3年計画の第1年度として、申請者独自のシーズ技術「微量Sn添加(~2%)と界面層付加による高移動度Ge薄膜の固相成長」および「キャップ層付加によるGe薄膜の大粒径化」を基に、極薄Ge膜の固相成長機構を評価した。 固相成長は、非晶質膜のバルク中および界面で結晶核が発生し、その後、結晶核が成長することで進行するが、膜厚の減少に伴い、界面での核発生が膜全体の成長に与える寄与が増大する。申請者は、非晶質Ge膜と基板との間に界面層を導入すると、界面核の発生と成長が制御できることを見いだしている。さらに、極薄膜では表面から混入する不純物の影響を受けやすいが、キャップ層を付加して固相成長時の不純物混入を阻止すると、結晶粒径が拡大することを見いだしている。 基板上に種々のバッファ層を形成して非晶質Sn添加Ge膜を堆積し、その上部にキャップ層を付加して熱処理することで固相成長を誘起した。成長速度や結晶構造を光学顕微鏡法や電子顕微鏡法で評価し、半導体膜厚の関数としてこれらの成長温度依存性を系統的に解析すると共に、成長層の組成の深さ方向分布を評価した。その結果、キャップ層を付加することで、非晶質Sn添加Ge膜への不純物の混入が抑制され、核発生密度を低い値に抑えつつ、核成長が促進することで、成長後の結晶粒径が拡大することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
綿密な実験計画を立案し、推進したことにより、研究が計画通り順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
第1年度の研究が順調に進展したので、今後も実験計画を綿密に立案し、研究を推進してゆく。 具体的には、非晶質Sn添加Ge薄膜の固相成長に与えるバッファ層およびキャップ層の効果を定量的に解明すると共に、従来材料に対するSn添加Ge薄膜の優位性を実証するためのデバイス試作を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、大型基板を用いた実験を予定していたが、小型試料でも実験が可能なプロセス装置、測定装置が利用できる環境となったため、小型基板を用いた実験が可能となり、消耗品の使用量が削減できた。次年度への繰り越しは、電気特性測定装置の高感度化に活用する。
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