研究課題/領域番号 |
22K04188
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
郭 其新 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 教授 (60243995)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 化合物半導体 / 希土類元素 |
研究実績の概要 |
本研究では、高い演色性を持つ新しい高効率白色発光ダイオードの実現を目指し、ワイドギャップ酸化物半導体に同時ドープされた希土類元素の励起機構の解明を目的としている。具体的には、パルスレーザー堆積法を用いて赤・緑・青色発光を示す希土類元素Eu・ Er・ Tmを同時にドープしたGa2O3混晶膜の高品質成長技術を確立し、希土類原子周辺の局所構造、電子状態を解明する。また、シンクロトロン光による励起波長が可変なフォトルミネッセンス法を用いて、発光スペクトルと母体材料に取込まれた希土類原子の濃度、局所構造等との関係を明らかにし、希土類元素ドープ発光のエネルギー輸送機構を解明することにより、演色性に優れた高効率白色発光実現のための共ドープ元素の制御方法の確立を目指している。 令和4年度は、パルスレーザー堆積法により、希土類Eu, Er, TmドープGa2O3薄膜を作製し、シンクロトロン光励起フォトルミネセンス法を用いて、得られた薄膜の発光強度の温度依存性を明らかにした。また、成長されたEu, Er, Tm同時ドープのGa2O3薄膜を用いて、白色発光ダイオードの作製に成功した。これらの研究成果の一部は、国際論文誌Applied Physics Expressに公表した。また、2022年に開かれたThe 11th Global Conference on Materials Science and Engineering国際会議で招待講演を行い、研究成果を紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、希土類元素Eu, Er, Tm同時ドープのGa2O3薄膜の作製ができ、得られた薄膜のフォトルミネセンス強度の温度依存性を明らかにし、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に得られたデータを活用して、パルスレーザー堆積法により、サファイア基板上に希土類元素Eu,ErとTm共ドープGa2O3結晶膜を作製する。具体的には基板温度、ガス圧を一定とし、Eu, Er, Tm含有量比が異なるターゲットを用いて薄膜を作製し、得られた薄膜の結晶性を評価すると同時に薄膜に含まれる希土類原子濃度を測定する。また、シンクロトロン光励起フォトルミネッセンス法により、得られた結晶膜の発光スペクトルの励起波長依存性などを明らかにする。得られた研究成果は、国際会議で発表し、国際的に評価が高い学術論文誌に公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:パルスレーザー堆積実験装置のエキシマレーザー用のガス購入費用を計上したが、ガス交換の必要がなかったため。
使用計画:サンプル作製する際、エキシマレーザー用ガス、高純度酸素ガス、サファイア基板、基板洗浄用薬品、ターゲット及びガスケット等の真空部品が必要とされるため、これらを消耗品として購入する。また、研究打合せ、研究成果発表のため、旅費及び論文投稿料として使用する。
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