研究課題/領域番号 |
22K04223
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
福原 雅朗 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (10710395)
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研究分担者 |
藤本 邦昭 東海大学, 文理融合学部, 教授 (60229044)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | FPGA / AI / ニューロンCMOS / ニューロンCMOSインバータ / 可変論理回路 / FGC / チャージシェア型SRAM / チャージコレクタ型SRAM |
研究実績の概要 |
本研究課題では、ニューロンCMOS (Complementary Metal Oxide Semiconductor) インバータと呼ばれる生体の神経細胞ニューロンを模した特性を有するデバイスを活用した新たな可変論理回路の実用化を目的とし、その目的達成に向け、これまでに我々が考案したFGC (Floating-Gate Calibration) 回路の導入による安定化と、クロックドCMOS回路の活用等による低電力化を図ることとしている。 本課題促進の意義・重要性は、現行のAI (Artificial Intelligence) 演算用ハードウェア等に多用されるFPGA (Field Programmable Gate Array) の高性能化・国産化が期待されることである。 2022年度に実施した研究の具体的内容としては、ニューロンCMOSインバータを用いたFGC付き4入力可変論理回路を主なターゲットとし、この回路について回路シミュレーション (HSPICE) による動作検証、レイアウト設計、ICチップ試作、そして実機による評価を行い、検証を進めてきた。これらの検証によると、シミュレーションでは安定的な動作が確認できたものの、実機ではやや不安定さが残り、回路挙動の安定化に向けさらなる研究施策が必要な現状にある。 また、低電力化の検討策として、電荷のロスを低減するチャージシェア型SRAMとチャージコレクタ型SRAMを構成要素として含めることを立案し、回路の接続方法や動作タイミング等の検証を進めているところである。 上記研究活動により得られた成果は、国内学会論文誌1編、国際電子ジャーナル2編、東海大学紀要1編、国際学会口頭発表1件、国内学会口頭発表2件を通して社会へ発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画調書では、2022年度に提案回路の安定性を、2023年度に提案回路の低電力化を目指し、各年度でシミュレーションと実機による検証を進めることとされている。 これに対し、2022年度の研究実績では、安定性については不充分であり更なる研究施策が必要であるが、低電力化の検討を前倒して進めることが出来たため、概ね順調に進展していると考えられる。 このような研究成果が得られた背景には、本科学研究費助成事業の予算により、集積回路設計CAD用ワークステーション、無停電電源装置、大型液晶ディスプレイ等を導入できたことが大きく貢献している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の計画に対し、概ね変更無く推進する。 2023年度には、提案回路の安定性の評価をさらに促進する。具体的には、提案回路の不安定性を引き起こす要因のフローティングゲートに対し、その回路挙動を把握するための計測用回路を導入し、シミュレーションと実機の両面から検証する。 さらに、低電力化の観点では、チャージシェア型/チャージコレクタ型SRAMの導入方針をより明確化するとともに、クロックドCMOS回路技術等を組み合わせた施策を検討する。 これらの研究を通して得られた成果は、国際学会や国内学会での発表を通して随時社会へ発信する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
集積回路設計費用に充当する。
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