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2023 年度 実施状況報告書

超伝導スピントロニクスメモリ素子を用いたプログラマブル論理回路の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K04226
研究機関大同大学

研究代表者

赤池 宏之  大同大学, 工学部, 教授 (20273287)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード電子デバイス・機器 / 超伝導デバイス / 磁性ジョセフソン接合
研究実績の概要

本研究では、メモリ素子の基本素子となる磁性ジョセフソン接合、特に、超伝導巨視的波動関数の電極間位相差が基底状態においてπとなるジョセフソンπ接合が重要となる。令和5年度は、令和4年度の結果を受けてさらに磁性障壁層について検討を進めた。ニッケル薄膜については、薄膜作製条件を検討しデータの蓄積を行った。その結果、薄膜の磁気的特性は、成膜条件よりもむしろ薄膜の抵抗率に大きく依存していることが分かった。さらに、接合作製に適する弱い磁気特性をもつ薄膜について磁気特性の低温測定を実施し、10 K程度までの低温磁気特性について知見を得た。また、磁気特性をさらに弱めるため、新たにニッケル系化合物の検討を開始した。接合作製技術に関しては、メモリ素子に適用する磁性ジョセフソン接合の接合構造として、磁性層とトンネル障壁層から成る二重障壁層構造を想定し、アルミニウムを用いたトンネル障壁層の検討を進めた。ここでは、磁性接合応用に適したトンネル障壁高さが小さいプラズマ窒化アルミニウムに着目し、前年度に検討した陽極酸化プロセスを採り入れた障壁層評価を行った。窒化アルミニウムの陽極酸化プロファイルの特徴を明らかにするとともに、標準的に障壁層として用いられている酸化アルミニウムのプロファイルと比較を行った。また、メモリ素子設計の指針を得るため、回路シミュレーションにより、素子による磁束量子伝搬特性への影響を調査した。ここでは、メモリ素子に代わる受動位相シフタとしてπ接合を使用し、接合特性が伝搬特性に与える影響について調査した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

磁性ジョセフソン接合作製に向けて磁性層のニッケル薄膜特性のデータ蓄積及びニッケル化合物の検討について、ほぼ予定通りの進捗状況である。また、磁性層とトンネル障壁層から成る二重障壁層構造に向けた窒化アルミニウムトンネル障壁層に関する知見も得られた。接合作製のためのプロセス開発も課題が少し残るものの、概ね目途がついている状況である。メモリ素子の設計検討では、メモリ素子の持つ位相シフト機能が、素子を回路内に導入した際、どのように影響するかについて知見を得ることができたため。

今後の研究の推進方策

磁性ジョセフソン接合作製の検討において、磁性障壁層としてニッケル化合物を中心に、その成膜及び薄膜特性評価を行う。さらに、磁性障壁層を持つジョセフソン接合を作製し、その特性評価を行う。障壁層構造においては、必要に応じてトンネル障壁層を含むものを想定する。また、接合を複数含む超伝導量子干渉計を作製・評価し、接合の振る舞いを調査するとともに、メモリ素子への応用の可能性を探る。メモリ素子の設計においては、回路シミュレーションにより、インダクタンスとπ接合から成るメモリ素子基本構造に対して磁束量子伝搬特性の評価を行うとともに、論理ゲートへ導入の検討を行い、ゲート機能の切り替えを試みる。

次年度使用額が生じた理由

大学院生の学会発表参加費や旅費等を別予算で工面できたこと、また、予算の効率的な使用により、4万円ほど繰越金が生じた。これらは、次年度に、基板などの消耗品の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 磁性接合障壁層に向けたNi薄膜作製とその特性評価2024

    • 著者名/発表者名
      赤池宏之,梶田一真
    • 学会等名
      第71回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 陽極酸化法を用いた超伝導多層膜特性評価2023

    • 著者名/発表者名
      浅井勇人,梶田一真,赤池宏之
    • 学会等名
      令和5年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会
  • [学会発表] 超伝導磁性混成デバイスのための磁性薄膜の作成と評価2023

    • 著者名/発表者名
      梶田一真,浅井勇人,赤池宏之
    • 学会等名
      令和5年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会

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公開日: 2024-12-25  

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