• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

亜硝酸塩系硬化促進剤を用いた高炉スラグセメントコンクリートのひび割れ予測手法

研究課題

研究課題/領域番号 22K04254
研究機関北見工業大学

研究代表者

崔 希燮  北見工業大学, 工学部, 准教授 (70710028)

研究分担者 井上 真澄  北見工業大学, 工学部, 教授 (00388141)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード高炉スラグ微粉末 / 低温環境 / 亜硝酸カルシウム / 硝酸カルシウム / 温度依存性 / 細孔構造 / 水和生成物 / 微細分析
研究実績の概要

低温環境下において,亜硝酸カルシウムおよび硝酸カルシウムを主成分とする硬化促進剤(CN)は,高炉スラグ微粉末を混入したセメント(以降,高炉スラグセメント,Blast-Furnace Slag Cement;BFSC)に対して添加すると硬化促進や凍結点低下などの性能を発揮し,初期強度改善効果が期待できる。さらに,寒中施工におけるBFSCの短所を克服できる可能性があるため,近年は環境負荷低減型寒中コンクリート施工技術として,BFSCとCNを併用したコンクリートに関する研究が進められている。しかし,多くの研究はBFSCを用いたコンクリートの初期凍害防止の観点から初期材齢における強度発現に着眼しており,初期以降における耐久性,特にコンクリートの劣化の起点となる収縮ひび割れに関する研究は極めて少ないのが現実である。令和4年度では,CN混入BFSCコンクリートの膨張反応の温度依存性および細孔構造と水和生成物との相関関係を明らかにするため,まず,CNを混入した普通コンクリートにおいて,CN混入コンクリートの反応速度,水和発熱速度などに関する多様な分析試験(Calorimeter,MIP)を行い,CN混入コンクリートの水和によって発生する熱量の定量化を行った。また,同ケースにおいて,硬化体の空隙構造や水和物の種類・量的変化などに関する微細分析試験(XRD,TG-DTA,SEM,固体NMR)の結果に基づいて膨張反応と空隙構造形成や水和物との相関関係を分析した。その結果,CN混入セメントマトリクス中の水分挙動と水和反応の相関関係による膨張収縮挙動を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CN混入BFSCコンクリートの膨張反応の温度依存性および細孔構造と水和生成物とのメカニズム究明の一環として,まず,硬化促進剤(CN)の主成分である亜硝酸カルシウムおよび硝酸カルシウムの化学反応モデル構築の可能性を確認した。そのため,CN混入硬化体を用いて,Calorimeter,MIP,XRD,TG-DTA,SEM,固体NMRなどの微細分析を行い,CNの添加量によるコンクリートの膨張反応と空隙構造形成や水和物との相関関係の比較・評価を行った。その結果,耐寒促進剤を多量添加したコンクリートの場合の体積増加率は,初期材齢からエーライト(C3S)とアルミネート(C3A)の反応を促進し,水酸化カルシウムやモノサルフェートの生成量が多くなることから耐寒促進剤の水和反応による毛細管空隙の増加率を考慮し、水和過程の初期領域における空間拡大と水和生成物の密度の差により,徐々に緻密化になることが確認できた。以上は当初評価どおりであることから概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

令和4年度の検討結果に基づき,CN混入BFSCコンクリートの膨張反応の温度依存性および細孔構造と水和生成物との相関関係を明らかにするための多様な実験を行う。その後,各種拘束条件下でのCNを混入したBFSCコンクリートの膨張収縮挙動およびひび割れ予想などについて定量的な評価を目的として,自由膨張収縮実験および拘束収縮実験を行う。実験は,CN混入BFSCコンクリートの温度依存性への適用を確認するため,多様な養生温度条件を設定して一連の実験を行う。拘束収縮実験は,供試体の内部に拘束鋼材を配置し,鋼材のひずみから拘束収縮ひずみを求める。拘束ひずみから拘束応力を算出し,同材齢の拘束応力に対するひび割れ発生強度比からCN混入BFSCコンクリートのひび割れポテンシャルを評価し,膨張収縮予測およびひび割れ予想について検討する。

次年度使用額が生じた理由

次年度の物品費に追加して使用する予定です。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Effects of Nitrite/Nitrate-Based Accelerators on Strength and Deformation of Cementitious Repair Materials under Low-Temperature Conditions2023

    • 著者名/発表者名
      Heesup Choi, Masumi Inoue, Hyeonggil Choi, Myungkwan Lim, Jihoon Kim
    • 雑誌名

      Journal of the Materials

      巻: 16 ページ: 1-15

    • DOI

      10.3390/ma16072632

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 低温環境下における耐寒促進剤を多量に添加したセメント系補修材の強度発現性と変形挙動に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      井田知利, 崔希燮, 井上真澄, 須藤裕司
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: 44 ページ: 1516-1521

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 亜硝酸塩を添加したセメントペーストの氷点下における強度発現特性2022

    • 著者名/発表者名
      井上真澄,崔希燮,田家康平,須藤裕司,吉岡憲一
    • 雑誌名

      材料学会論文集

      巻: 71 ページ: 388-394

    • DOI

      10.2472/jsms.71.388

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 亜硝酸リチウムを添加した耐寒PCグラウトの基礎物性とその実用性の検討2022

    • 著者名/発表者名
      井上真澄,吉岡憲一,須藤裕司,崔希燮,田家康平
    • 雑誌名

      土木学会論文集E2

      巻: 78 ページ: 210-223

    • 査読あり
  • [学会発表] 硬化促進剤を添加した高炉スラグ微粉末含有コンクリートの強度発現性と収縮特性に及ぼす遅延剤の影響2023

    • 著者名/発表者名
      外川浩輔,飯塚玲央,井上真澄,崔希燮,須藤裕司
    • 学会等名
      令和4年度土木学会北海道支部論文報告集
  • [学会発表] 亜硝酸塩系耐寒促進剤を添加したセメント系複合材のC-S-Hの組成とゲル空隙の相関関係の考察2023

    • 著者名/発表者名
      三浦也実,崔希燮,井上真澄
    • 学会等名
      令和4年度土木学会北海道支部論文報告集
  • [学会発表] 改質石炭灰(CfFA)を用いた耐寒促進剤コンクリートの流動性と初期強度発現性に関する実験的検討2023

    • 著者名/発表者名
      町田康介,崔希燮,井上真澄
    • 学会等名
      令和4年度土木学会北海道支部論文報告集
  • [学会発表] 亜硝酸リチウムを添加した耐寒無収縮モルタルの諸特性に関する基礎的検討2023

    • 著者名/発表者名
      福間優作,井上真澄,崔希燮,吉岡憲一,須藤裕司
    • 学会等名
      令和4年度土木学会北海道支部論文報告集
  • [学会発表] 硬化促進剤を添加した高炉スラグ微粉末含有コンクリートのスランプ保持性能と初期強度発現に及ぼす遅延剤の影響2022

    • 著者名/発表者名
      外川浩輔,井上真澄,崔希燮,須藤裕司
    • 学会等名
      土木学会第77回年次学術講演会
  • [学会発表] 亜硝酸塩系耐寒促進剤を添加したセメント系補修材料の初期強度発現と変形挙動に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      小泉雄一,崔希燮,井上真澄,須藤裕司
    • 学会等名
      土木学会第77回年次学術講演会
  • [学会発表] 亜硝酸塩系硬化促進剤を添加した高炉スラグ含有モルタルの強度発現と変形挙動に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      大川慶起,崔希燮,井上真澄,須藤裕司
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi