研究課題/領域番号 |
22K04258
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小林 孝一 岐阜大学, 工学部, 教授 (20283624)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ダムコンクリート / 溶脱 / 炭酸カルシウム / 電気化学的促進 |
研究実績の概要 |
水力発電設備は主にコンクリート構造物となり、地下水位以下に多数存在している。地下水と長期に接していることで、セメント系材料中の水和物が周囲の水に溶解して組織が疎となる溶脱という劣化が生じ、ひび割れもしくは継ぎ目から漏水を伴うエフロレッセンス等の白色析出物が生じている。一般的に美観上の問題はあるが、短期的にはコンクリート強度に影響を及ぼしたりするものではないと言われている。ただし、一部のダムでは、多量の白色析出物が発生しており、高アルカリの湧水が一部で確認されている。そこで本研究では、多量の白色析出物の発生メカニズムの解明や、溶脱に対するコンクリートの長期耐久性への影響を把握することを目的としている。直流電圧を付加することによる電気化学的促進方法,および,重曹水に浸漬する方法によって,溶脱の促進試験を実施したところ, 1)12 週経過時点で直流電厚による電気化学的促進法,重曹による浸漬法で中性化が起こっていた。 2)電気化学的促進法、浸漬法(重曹)、浸漬法 (水)の順に中性化が進行しやすいことが分かった。 3)中性化が進行していた供試体の表面で、Ca(OH)2がなくなり、CaCO3が生じていることが分かった。また、実際のダムに生じる白色析出物も CaCO3(炭酸カルシウム)が主成分であり、実現象に近い析出物が生じていることが確 認できた。 4)電気化学的促進法において溶脱をした陰極側表面では組織が疎となっていること が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
促進試験の途中から,溶脱が思うように進まなくなった.供試体表面に生成された炭酸カルシウムの析出物の層が,イオンの溶脱を阻害している可能性がある.
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今後の研究の推進方策 |
実際の構造物では常に流水環境下にあることを鑑み,試験方法に改良を加える. さらに,すでに調査した手取川ダムに加えて,他のダムにおいても調査を実施し,資料を採取することによって,実験室における試験との整合を検討する.
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