研究課題/領域番号 |
22K04275
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡辺 暁央 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00422650)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 膨張材 / 反射電子像 / 画像解析 / 2点相関関数 / 水酸化カルシウム / 毛細管空隙 / 拘束 |
研究実績の概要 |
石灰系膨張材を混入したモルタル供試体を軽量型枠および鋼製拘束型枠に打設して,材齢7日まで20℃の密封状態で静置した。その供試体を切り出し,鏡面研磨を実施して,反射電子像観察を行い,セメントマトリックスの組成像を取得した。未水和セメント,水酸化カルシウム,毛細管空隙について2値化像を作成し,それに対して2点相関関数による評価を実施した。2点相関関数によって得られる知見として,存在確率(構成割合),構造距離(相の連続性)が主なものであり,セメント硬化体の空間構造を数学的に評価することができる。 膨張材を混入した場合,膨張の要因となる水酸化カルシウムの増大を確認した。また,軽量型枠および鋼製拘束型枠を比較した場合,拘束型枠では毛細管空隙が少なくなっていることが確認され,膨張を拘束することにより内部組織が緻密化することが明らかとなった。拘束が十分でない軽量型枠の場合,毛細管空隙量は膨張材を混入していないモルタル供試体と同程度であるものの,空隙の連続性が大きくなるという評価となった。すなわち,膨張材を混入する場合は,十分な拘束環境になるようにしなければ適切な性能を発揮できず,粗な内部組織になる可能性があることを示している。 今後の内部組織評価の計画として,養生温度をパラメータとして,データを収集する予定である。また,膨張材をエトリンガイト系のものを使用したときの内部組織評価を行い,膨張作用を引き起こす反応が異なる系において,どのような相違が確認できるか検討する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算配当の関係上,初年度に予定していた膨張応力の測定装置の作製ができず,装置の設計までとなった。そこで,次年度予定していた内部組織評価を初年度に実施し,想定された成果が得られている。次年度直ちに装置作製に取りかかれるようにしており,全体研究計画に大きな遅延はないといえる。
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今後の研究の推進方策 |
繰り越しした研究経費と合わせて,一軸拘束試験装置の作製にとりかかる予定である。また,内部組織の評価についても,膨張材の種類,養生温度をパラメータとして,先行してデータの収集を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度予定していた一軸拘束試験装置の作製が配分予算の不足により実施できず,次年度に繰り越すことで装置作成費用を確保した。
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