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2023 年度 実施状況報告書

有限要素解析に適した新しい影響線解析手法の開発:構造設計の効率化を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 22K04278
研究機関東北大学

研究代表者

齊木 功  東北大学, 工学研究科, 准教授 (40292247)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード影響線 / 有限要素法 / 相反定理 / Muller-Breslau / 平面シェル要素
研究実績の概要

本年度は平面シェル要素を用いてモデル化された有限要素モデルの影響線を求める方法を提案した.
構造解析でよく用いられるMuller-Breslauの原理では,内力の影響線を求めるためには不連続変位を与える必要がある.そのため,有限要素モデルにMuller-Breslauの原理を適用するためには,2重節点化のモデル修正が必要になる.2重節点化のモデル修正は着目点ごとに行う必要があり,設計の現場ではほとんど用いられてこなかった.これに対し,本研究では相反定理に基づき節点間の相対変位の影響線を求める方法を提案した.相対変位の影響線はひずみの影響線と等しく,複数成分のひずみの影響線を重ね合わせることで応力の影響線を求めることができる.本手法によれば,一つの着目点に対して一度の解析を実行するだけでよく,着目点の応答を床版面に関連付けるポストプロセスも不要であるというMuller-Breslauの原理に基づく方法が有する利点を持ち,かつ有限要素モデルの修正をする必要がないため,従来の手法よりも効率的に影響線を求めることができるようになった.また,本提案手法において影響線の解析のためにモデルに与える荷重は,要素長と材料定数から容易に設定できることから,汎用有限要素解析コードへの実装も容易である.
2022年度に開発した上記手法を元に,シェル要素表面変位の影響線を求める定式化を行った.変位の影響線の重ね合わせから,ひずみ・応力の影響線を求めるための定式化を行い,4辺単純支持の板曲げ問題,および,鋼床版を有する橋梁モデルにおいて単位荷重に対する応答を求め,本手法による影響線の値と比較した.両者の差は最大でも0.1%程度であり,本手法の妥当性を確認することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要で述べた通り,ソリッド要素を用いた有限要素モデルの影響線を求める手法を平面シェル要素に適用するための拡張を行った.この拡張により,走行荷重による局所的な応力や,従来は格子解析により簡易的に行われている応力照査に本手法が適用できる環境が整備されたと考えらる.

今後の研究の推進方策

連続体ソリッド要素で離散化したモデルの垂直ひずみ・垂直応力の影響線を求める方法に加え,平面シェル要素で離散化したモデルの垂直ひずみ・垂直応力の影響線を求める方法を開発した.今後は,骨組要素により離散化されたモデルや,合応力である断面力に対する影響線の解析手法を構築する予定である.また,構造物の設計への本手法の適用として,交通荷重による疲労照査への活用を考えている.この場合,疲労照査に構造ホットスポット応力が使われることから,構造ホットスポット応力の影響線を1度の有限要素解析で求める方法を開発する.
設計において活荷重を作用させる場合は設計荷重載荷面で影響線を積分する必要がある.有限要素解析において影響線は各節点の値として求められるが,その際,荷重載荷面の要素分割と積分範囲が必ずしも整合しない場合が考えられる.そこで,荷重載荷面に,要素分割と無関係な積分用のグリッドを設けることを考えている.元の有限要素モデルの影響線の値(節点値)と有限要素内挿関数を用いて積分用グリッドの各点における影響線の値をマッピングさせ,これを用いた影響線の積分を構築する.この方法による積分の精度を制御するために,もとの有限要素サイズ・積分用のグリッドのサイズ・積分精度の関係をいくつかの数値例により明らかにする.
上記がいずれも達成された場合,疲労照査のために,走行位置や軸重などを確立関数としてMonte Carloシミュレーションを行い,着目点の一定期間の疲労損傷度の評価が効率的に行えることを示す.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 曲線鋼箱桁橋の合成効果に関する数値的検討2024

    • 著者名/発表者名
      野本 竜成
    • 学会等名
      令和5年度土木学会東北支部技術研究発表会
  • [産業財産権] 応力影響線の算出方法及び鋼床版の疲労評価方法2023

    • 発明者名
      斉木功,横山薫,鈴木俊光,橋本幹司
    • 権利者名
      斉木功,横山薫,鈴木俊光,橋本幹司
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-119430

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公開日: 2024-12-25  

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