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2023 年度 実施状況報告書

海底地震観測記録を用いた東北・関東太平洋沖の地盤構造同定及びサイト増幅推定

研究課題

研究課題/領域番号 22K04287
研究機関京都大学

研究代表者

長嶋 史明  京都大学, 防災研究所, 准教授 (70793537)

研究分担者 Dhakal Yadab  国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波火山ネットワークセンター, 主任専門研究員 (60708890)
川瀬 博  京都大学, 防災研究所, 寄附研究部門教員 (30311856)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードS-net / 地下構造 / 水平上下スペクトル比 / 拡散波動場 / 海底観測点
研究実績の概要

日本近傍のプレート境界ではこれまで大被害を伴う地震が幾度も発生しており、将来発生する海溝型地震によりもたらされる地震動や地震被害の予測精度向上は被害軽減に資するものと考える。しかし、海溝で発生した地震動が日本に伝播するまでに通過する海域の地下構造については、その観測の困難さから詳細な検討はなされていない。本研究では、関東から北海道南部までの太平洋沖に整備された海底地震津波観測網S-netの地震動記録を用いて、地震動の拡散波動場理論に基づき地下構造を推定することを目的とする。
本年度は、昨年度に引き続き海面からの反射波の影響が地震動の水平上下スペクトル比(EHVR)に表れるかについて、解析対象観測点を増やして検討した。EHVRの計算には、地震動による地震計の回転の影響が小さいと考えられるPGA<10Galの記録のみを用い、S2測線の26地点で観測地震動からEHVRを求めた。複数の地点のEHVRにおいて、地震計の水深の公表値と水のP波速度(1500 m/s)から推定される振動数にピークが見られ、海面からの反射波の影響が示唆された。
観測記録から求めたEHVRを用いて、地震動の拡散波動場理論に基づき地下構造を同定した。ここでは、地震計を内包するケーブルと海底面との不十分なカップリングやケーブルを伝わるガイド波などにより生じるノイズが記録中に少ないと考えられる、地中1 mにケーブルが埋没されている水深1500 m以浅の観測点を対象とした。1 mの埋没の有無や海水層によるP波の反射波の有無を変えながら地下構造を同定した。1 m の埋没を考慮することにより最表層のS波速度の下限値が拘束された。また、海水層を考慮することにより上下サイト増幅特性に谷が生じ、その谷により理論EHVRにピークが生成されるが、観測EHVRの再現に対するそのピークの影響度は観測点によって違いが見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は地震観測記録から観測水平上下スペクトル比を計算し、平行して地下構造を同定することを目標としていた。海底地震計の記録を用いているので、地震計の設置に係る特異な条件が複数あり、それらの同定結果への影響の評価を行いつつ適切な同定条件の探索に予定よりも時間を配分した。その結果、昨年度より解析実施観測点は増加したが、全観測点で観測EHVRを求めるには至らなかった。次年度は今年度までに得られた知見を活かし、S-net全観測点で解析を行う。

今後の研究の推進方策

S-netの全観測点で観測EHVRを計算し、今年度の検討で得られた海底地震計に関連する様々な要素の影響を考慮した地下構造同定を行う。その後、S-net観測網が設置されている領域の全域をカバーするように地下構造を推定し、補間することで3次元的な地下構造の推定を目指す。並行して、S-netの観測記録を用いたスペクトルインバージョン手法によって震源・伝播経路・サイト増幅特性の分離を行い、同定地下構造との比較検討を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] S-net地震動記録を用いた地震動の拡散波動場理論に基づく地下構造同定2023

    • 著者名/発表者名
      長嶋史明, Yadab P. Dhakal, 川瀬博, 仲野健一
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合

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公開日: 2024-12-25  

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