研究課題/領域番号 |
22K04294
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
東山 浩士 近畿大学, 理工学部, 教授 (60319754)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 道路橋RC床版 / 水平ひび割れ / 鋼板接着補強 / 樹脂注入 / 補修 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,曲げひび割れおよび水平ひび割れ,ならびに鋼板のうき・はく離を有する道路橋RC床版をモデル化した梁試験体による樹脂接着剤の充填性の検証と曲げ載荷試験による補修効果の評価・検証である. 令和4年度は,長さ2m,幅300mm,高さ200mmのRC梁の上段鉄筋付近に水平ひび割れを有する試験体を作製し,水平ひび割れ部への樹脂接着剤の充填性と4点曲げ載荷試験による補修効果の評価・検証を行った.具体的な試験体パラメータは,①基準となるRC梁,②上段鉄筋付近に水平ひび割れのみを有するRC梁,③上段鉄筋付近に水平ひび割れおよび予備載荷による曲げひび割れを有するRC梁,④上段鉄筋付近に水平ひび割れのみを有するRC梁である.なお,④試験体は樹脂接着剤の注入は行わず,水平ひび割れの発生による低下を確認するために作製した試験体である. ④試験体は水平ひび割れ部に樹脂接着剤を注入していないことから,①試験体と比較し,降伏耐力が70%,終局耐力が80%に低下した.一方,②試験体および③試験体のひび割れ部に樹脂接着剤を注入した後の曲げ挙動および耐力については,①試験体と比較して,載荷初期の曲げひび割れがやや早期に発生するものの,降伏耐力および終局耐力はほぼ同等にまで回復することを確認した.ここで,予備載荷により曲げひび割れを導入した③試験体について,載荷試験終了後に曲げひび割れ部への樹脂接着剤の充填性を確認したところ,初期のひび割れ幅が極めて小さかったことから,その充填性を確認することができなかった.このたため,令和5年度以降においては,予備載荷の荷重レベルおよび繰返し回数について慎重に検討し,想定される実橋RC床版のひび割れ幅の導入を確認することにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は当初計画通りに実験を遂行することができ,概ね想定される研究成果を得ることができた.これにより,令和5年度も当初計画通りの研究を進めることができる.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は当初計画通り,鋼板接着補強されたRC床版における鋼板のうき・はく離などの再劣化が進行した場合の樹脂接着剤の注入による補修効果の評価および検証を行う.試験体パラメータは,①基準となる鋼板接着補強RC梁,②下段鉄筋付近に水平ひび割れを有するRC梁,③下段鉄筋付近に水平ひび割れと曲げひび割れを有するRC梁,④上段鉄筋付近に水平ひび割れを有するRC梁,⑤上段鉄筋付近に水平ひび割れと曲げひび割れを有するRC梁である.いずれの試験体も梁下面にはく離した状態の鋼板を設置する. 樹脂接着剤の注入は,水平ひび割れ部,曲げひび割れ部,および鋼板はく離部であり,その充填性を確認した上で4点曲げ載荷実験を行い,補修効果を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
鉄筋および型枠材料の高騰により,当初計画より物品費が増大した.その結果,樹脂接着剤注入施工費を科研費以外の研究費から別途支出するなど,研究費をやりくりしたことにより残額が生じた.この残額については,高騰が続いている鉄筋などの物品費に充当する計画である.
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