研究課題/領域番号 |
22K04296
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研究機関 | 大分工業高等専門学校 |
研究代表者 |
名木野 晴暢 大分工業高等専門学校, 都市・環境工学科, 准教授 (10455181)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 軸方向傾斜機能材料 / 自由振動 / 弾性安定 / 3次元弾性論 / 森・田中の平均場理論 / Eshelbyの等価介在物法 / 線形複合則 / B-spline Ritz法 |
研究実績の概要 |
本研究の目標は,従来の鉄鋼やコンクリートからなる単純ブレースや座屈拘束ブレースよりも軽量で,かつ高い耐震補強性能を発揮する2成分系軸方向傾斜機能材料(以下,傾斜機能材料と略す)からなるシンプルなブレースを開発することである.この目標を達成するための基礎資料を得るために,本研究では傾斜機能材料の自由振動・弾性安定と設計変数との関係を3次元弾性論に基づく数値解析により明らかにする. 令和5年度も研究協力者2名の体制を継続することができたため,3次元弾性論に基づく傾斜機能材料の弾性安定の解明(以下,課題1と略す)と同理論に基づく同料の自由振動の解明(以下,課題2と略す)を並行して実施した.
■令和5年度の課題1の成果:(1)3次元弾性論に基づく傾斜機能材料の線形座屈問題を解析するための設計支援ツールの開発を行った.(2)令和4年度に開発した材料設計支援ツールを用いて傾斜機能材料からなるEngesser-Timoshenko column(以下,傾斜機能柱と略す)のEulerの座屈荷重とこれに対応する座屈モードに与える設計変数の影響を明らかにした.(3)(2)から傾斜機能柱の線形座屈に面外せん断変形が影響する設計変数の範囲も明らかにした.
■令和5年度の課題2の成果:(4)3次元弾性論に基づく傾斜機能材料の自由振動問題を解析するための設計支援ツールの開発を行った.(5)令和4年度に開発した材料設計支援ツールを用いてLove理論に基づく傾斜機能材料からなる弾性棒(以下,傾斜機能棒と略す)の自由縦振動の固有振動数とこれに対応する固有振動モードに与える設計変数の影響を明らかにした.(6)(5)から傾斜機能棒の自由縦振動の固有振動数に横方向慣性が影響する設計変数の範囲も明らかにした.(7)一般化質量を指標として傾斜機能棒の自由縦振動に与えるポアソン効果の影響を定量的に評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2名の研究協力者の積極的な研究活動のお陰で,課題1および課題2ともに順調に基礎資料を収集できており,九州橋梁・構造工学研究会シンポジウムおよび土木学会西部支部研究発表会にて成果を公表することもできた.しかし,令和5年度中にこれらの成果を論文にまとめて査読付学術雑誌へ投稿することはできなかった.また,これらは近似理論に基づく知見であり,本研究の核となる3次元弾性論に基づく傾斜機能材料の自由振動と弾性安定については未だ明らかにできていない.
以上のことから,総合的に判断して「(3) やや遅れている。」とした.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を申請したときの研究計画の達成を目指して,令和6年度(最終年度)は,以下の4点を実施する.
(1) 3元弾性論に基づく傾斜機能材料の弾性安定および自由振動の設計支援ツールのコード検証 (2) (1)の材料設計支援ツールを用いて傾斜機能材料の弾性安定および自由振動に与える設計変数の影響の解明 (3) 傾斜機能材料の弾性安定問題および自由振動問題における近似理論(Love理論およびTimoshenko梁理論)の適用範囲の解明 (4) 傾斜機能ブレースの耐震補強性能の定量的評価
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度は査読付学術論文を投稿できなかったため,次年度使用額が生じた. この次年度使用額は,令和6年度の研究成果の公表に使用する予定である.
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