研究課題/領域番号 |
22K04303
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
里見 知昭 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (80588020)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地盤情報施工 / バケット掘削 / 掘削実験 / 力覚 / 視覚 / 掘削抵抗力 / 土の破壊形状 / 土の性状 |
研究実績の概要 |
無人化施工の効率向上には地盤情報の把握が不可欠である.そこで研究代表者は,どの現場でも必ず導入されている油圧ショベルのバケットの力覚情報に注目し,地盤強度を推定する研究を行ってきた.しかし,力覚情報のみでは推定精度を大幅に向上させる難しさを実感してきた.バケットを応用した地盤強度推定の精度を向上させるためには,掘削時に刻々と変化する掘削抵抗力(力覚情報)と土の破壊形状(視覚情報)の相互作用の解明が不可欠という考えに至った.今年度は当初の計画にもとづき,力覚センサおよびビデオカメラを設置したバケット掘削模型実験を行い,掘削抵抗力と土の破壊形状に及ぼす土の性状の影響について検討した. はじめに粒度が比較的揃っている砂質土を対象に,掘削時の土の破壊形状は土の性状に応じて変化し,土のせん断破壊線は含水比が高くなるにつれて不明瞭になり,同じ含水比の場合でも粒径の大きさによって異なることが認められた.コーン指数(建設機械のトラフィカビリティの評価指標)と平均掘削抵抗力の関係は正の相関関係を示すものの,その傾向は土の種類によって異なった.一方,土の破壊形状はコーン指数と調和的であることが示唆された. 次に,粘土を含む一般的な土を対象に,土の破壊形状とコーン指数との関係における細粒分の影響を考察したところ,細粒分が多くなるとせん断破壊線が明瞭で多方向に現れた.砂質土地盤と同様に,コーン指数と平均掘削抵抗力の関係は正の相関関係を示すものの,その傾向は土の種類によって異なり,土の破壊形状はコーン指数と調和的であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画どおり,模型実験にてバケット掘削時の掘削抵抗力(力覚情報)と土の破壊形状(視覚情報)との関係について検討した.とくに,土の破壊形状はコーン指数(建設機械のトラフィカビリティの評価指標)と調和的であることを示すことができたのは,バケット掘削による地盤強度推定の精度向上につながる可能性が大きく,土と機械の力学的相互作用を取り扱うテラメカニクス研究における新たな知見である.以上の研究成果は国内の関連学会にて発表および発表予定であることを鑑みて,概ね順調に進展していると自己評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,様々な地盤条件に対するバケット掘削実験を継続して,バケット掘削時の掘削抵抗力(力覚情報)と土の破壊形状(視覚情報)との関係についての分析を深める.そして,土の破壊形状を定量化する方法を検討し,バケット掘削時の力覚情報と視覚情報を連携した高精度な地盤強度推定法の開発に向けた基盤を構築する.加えて,X線CT対応型コーン貫入試験(新規に製作)を行い,土の性状がコーン貫入時の貫入抵抗の変動と土の変形破壊に及ぼす影響を明らかし,コーン指数と土の性状との関係を明示する.なお,以上の計画は当初の計画どおりである.
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は当初の計画どおりに概ね進行できた.しかし,一部の地盤条件において掘削実験装置の性能を上回り,実験装置を大幅に改良する必要があることが分かった.そのため,令和元年度に使用する助成金を次年度使用額に充てることにした.本助成金は掘削実験装置,X線CT対応型コーン貫入試験装置にかかる部品購入費および材料加工費とともに,当初計画の成果発表参加費とその旅費に充てて,本研究課題を遂行する.
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