研究課題/領域番号 |
22K04307
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
福元 豊 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (60757350)
|
研究分担者 |
新保 泰輝 石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (20572697)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 浸透 / 亀裂 / 粒状体 / マルチフィジックス / 格子ボルツマン法 / Peridynamics法 / 個別要素法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地盤材料が劣化する過程をマルチフィジックスな視点で捉えることで,その発生・進行要因の定量的な分類と整理を可能とすることである.とくに,亀裂,細粒化,浸透の3つの現象に着目し,土質試験と模型実験で得られた結果を踏まえて,亀裂-流体-粒状体を同時に考慮できる数値計算モデルを構築する.その過程で,課題A)「細粒化/浸透」の粒子型モデリング,課題B)「亀裂/細粒化」の粒子型モデリング,課題C)「亀裂/細粒化/浸透」の粒子型モデリングに取り組む.その結果,今年度は以下のような成果がそれぞれ得られた. 課題Aについて,昨年度に引き続き,異なる粒径を持つ土粒子の層境界部に着目した浸透流の観察実験を実施した.昨年度に得た水理的屈曲度に関する予備結果を詳細に検討するために,今年度は0.5mm間隔でレーザー照射位置を調整できる装置を作成し,これまでよりも多くのスライス画像を得た.粒子配置が一層構造と二層構造の2通りの条件を比較することで,二層構造の層境界部では充填率が減少しているにも関わらず水理的屈曲度が増加することがわかった. 課題Bについて,Peridynamics法と個別要素法の連成モデルの枠組みに非構造格子モデルを導入した.円柱供試体の圧縮シミュレーションから,非構造格子モデルでも精度良く応力を評価できることがわかった.また,単粒子破砕のシミュレーションの結果から,非構造格子モデルがより少ない計算点数でより滑らかな形態を表現できることで,効率の良い方法となる可能性が示唆された. 課題Cについて,まずは2次元の条件から,Peridynamics法と格子ボルツマン法と個別要素法を連成したモデルの開発に着手した.亀裂発生時の数値安定性に問題があることが判明した.この点を継続して検討する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目も当初の工程表の通り,課題Aと課題Bを並行して実施している.課題Aでは1年目に得られた予備実験結果を十分に確認することができた.課題BではPeridynamics法と個別要素法の連成モデルの枠組みに非構造格子モデルを導入した新しい手法の開発を進めている.さらに,課題Aと課題Bの融合課題である課題Cについても,一定の進捗が見られた.よって,おおむね順調に進展している
|
今後の研究の推進方策 |
3年目もこれまでと同様に課題Aの「細粒化/浸透」の粒子型モデリングと課題Bの「亀裂/細粒化」の粒子型モデリングを同時に進捗させる.課題Aについては,2年目に得られた0.5mm間隔のスライス画像から,土粒子構造と間隙流速の両方の情報を持つ3次元モデルを構築する.課題Bについては,破壊の数値計算モデルの改良に加えて,2年目後半に検討を開始した土のような脆弱固体材料の直接引張試験方法を確立する.また,課題Cについても,亀裂発生時の数値安定性の問題を解決し,3次元に拡張する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に独立基盤形成支援(試行)による追加の配分をいただいたことで,2年目の使途計画に余裕が生まれた.また,海外での成果発表が無かったため,外国出張旅費が必要なくなった.最終年度は,現時点で既に複数の国内学会と国際学会への参加が決まっているので,次年度使用額はそれらの出張旅費に充てる予定である.計算機の購入費または土質実験装置の改良費にも使用する予定である.実験消耗品については,当初の計画通りに使用する.
|