研究課題/領域番号 |
22K04317
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石藏 良平 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90510222)
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研究分担者 |
杉本 知史 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60404240)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地盤改良 / 地盤補強 / 小型応力計 / マットレス / アルミ棒積層体 / 応力分担機構 / 非着底 |
研究実績の概要 |
本研究は,深層部を非着底かつ低置換で改良する非着底地盤改良技術と柔な構造を有するマットレス補強とを併用した新たな地盤改良技術の構築を目指している.2023年度の研究実績をまとめると以下の通りである. 1)2022年度に作製したアルミ棒積層体載荷試験装置を用いて,マットレスの最適な補強効果を発揮できる改良諸元を明らかにするため,マットレス幅や厚さを変化させた一連の鉛直載荷試験を行った.マットレス底部の補強材に設置したひずみゲージによる引張抵抗や模型地盤全体の画像解析結果から,上載荷重に抵抗するマットレス効果について考察した.載荷幅に対するマットレスの張出幅や厚さに応じて,3 つの変形モードに分類し,それぞれの支持力発現メカニズムを提示した.さらに,マットレスの敷設幅の影響を反映可能な評価方法を提案し,マットレス補強地盤の支持力が最大となるマットレス敷設幅の傾向を捉えることができることを確認した. 2)2022年度に試作した小型応力計について,アルミ棒積層地盤内の応力分布を精度よく評価できるレベルまでもっていくため,その測定方法の改良を試みた.土被りの異なるアルミ棒積層体を用いた一連のキャリブレーション試験を実施し,小型応力計に設置したひずみゲージのヤング率の新たな設定方法を確立した.また,引張剛性が異なる補強材を用いたマットレス補強地盤に載荷試験を実施することにより,補強材の引張剛性が支持力発現に与える影響に関する知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,2022年度に作製したアルミ棒積層体載荷試験装置を用いて,マットレス単体に対する一連の試験を継続実施するとともに,補強材の引張抵抗の測定結果や画像解析結果を活かして,マットレスの補強メカニズム解明を目指した.マットレスの張出幅に応じた補強メカニズムの分類を行うとともに,マットレス敷設幅や厚さの影響を反映できる支持力の評価方法を提案した.小型応力計のアルミ棒積層地盤内での応力測定の精度向上についての取り組みを行い,改良地盤の支持力特性に対する,応力場からの評価も可能とする見通しが立った.課題解決に向けておおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については,最終年度であることを踏まえ,以下のことを実施する計画である. ・測定方法を改良した小型応力計,主応力計測システム,画像解析を用いて,補強材の引張剛性が異なるマットレス単体の補強メカニズム,およびマットレスと非着底改良体を併用した改良地盤の一体化効果を変形・応力場の両面から明らかにする.また,設計の際に重要となる改良地盤の応力分担機構に及ぼす補強材の引張抵抗の影響についても明らかにする. ・模型スケールおよび実規模スケールでのマットレス補強地盤および併用改良地盤のFEM解析を並行して実施し,補強材の引張剛性を考慮したマットレスの最適化や併用改良地盤の一体化効果を発揮できる,マットレス厚,補強材の引張剛性などの改良諸元を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は,最終年度の予算を精査しつつ,使用している解析ソフトの年間ライセンスや,研究成果発表のための旅費や登録料,開発した小型応力計をさらに作製する予定であり,その製作費に使用する予定である.
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