研究課題/領域番号 |
22K04335
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山中 亮一 徳島大学, 環境防災研究センター, 准教授 (50361879)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | グリーンインフラ / 海岸堤防 / 松林 / 津波 / 高潮 / 合意形成 / ハイブリッドインフラ |
研究実績の概要 |
海浜・松林・背後砂丘と海岸堤防で構成されるハイブリッドインフラを有する徳島県・海陽町大里を対象地とし,当地での減災,環境再生,地域継承に関する社会的ニーズに沿った (A)高潮や長周期波に対する減災機能の向上,(B)高潮による塩害を受けた松林の再生, (C)ハイブリッドインフラの持続性を向上させる方法の共創を研究テーマとしている.
令和4年度では下記の2つのテーマについて研究を行い成果を得た. (1)台風由来の長周期波による松林の浸水被害の発生過程について:徳島県海陽町大里松原海岸において発生した松林の松枯被害の発生プロセスを明らかにするために,XBeachを用いた数値解析(波浪,海浜変形,地下水の解析)を行った.その結果,発災当時,松林では地下水位が最大で2.5m上昇した可能性があることがわかった. (2)台風による長周期波による浸水被害とグリーンインフラの維持管理:徳島県海陽町の大里松原海岸に来襲した長周期波による松林の浸水とその後の松枯被害について,現地調査と数値解析により原因の解明を行うとともに,その土地の形成過程を考慮したインフラのあり方について考察を行った.発災時の浸水状況をヒアリング調査により明らかにし,現地のステークホルダと議論を行った結果,低発生確率の災害に伴い背後砂丘が形成され,その恩恵を水害を防ぐという生態系サービスとして享受していることは理解されるものの,短期的な松林の枯死は地域の受容可能性をこえており,海岸での人工物の設置が選択されたことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は本研究課題の初年度にあたり,解析に必要な解析モデルの整備など,基盤となる技術構築に力点を置いて研究を行った.その結果,XBeachでの解析に成功し,現地でのヒアリングについてもコロナ禍にも関わらず実施でき,被災時の松林での浸水状況や地下水の吹き出しなどの情報について,詳しく得ることができた.そのため,概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い,令和5年度は令和4年度に構築した数値解析モデルを用いた解析を行うとともに,新たな課題として浮かび上がった地下水の塩性化について,検討を進めることになる. また当初計画にあった確率論に基づく評価を行う.特に松林のどのエリアが被災しやすいか,松林帯が崩壊した後の背後地の被災確率を求め,グリーンインフラ管理において考慮すべき論点を明確にしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:消耗品(印刷用紙,測量野帳,筆記用具)が3月に納品となり,支払いが完了していないため. 使用計画:消耗品の支払いは4月に完了する予定である.
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