研究課題/領域番号 |
22K04345
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
加藤 亮平 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (70811868)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 局地的大雨 / 数値予測 / データ同化 / 雲レーダー / 選択的同化 |
研究実績の概要 |
「ゲリラ豪雨」とも呼ばれる局地的大雨は、河川の急な増水や道路の浸水などを通じて時には人的被害をも引き起こすため、その予測手法の開発は重要な研究課題である。局地的大雨の一時間以内の短時間予測技術の一つとして、高解像度気象数値モデルを用いた数値予測が挙げられる。数値予測による局地的大雨予測の鍵は、観測に近い適切な初期値を作成することであり、これはデータ同化という技術によって行われる。本研究では、局地的大雨を引き起こす積乱雲の発生段階の雲を観測することができる雲レーダーの同化手法を高度化することで、雲レーダー同化による局地的大雨予測の実用化に向けた問題点の解決を目指している。
実用化に向けた大きな問題点として、衰弱中の雲を同化することで偽の雨が予測されてしまい予測精度が低下することが挙げられる。そこで、本年度は発達中の雲のみを選択的に同化する「選択的同化手法」の開発に向けて、これまで降水データに対して適用されてきた積乱雲自動追跡プログラムを雲レーダーデータに適用可能とする高度化を行った。この高度化によって、1分毎の雲レーダーエコーを自動的に追跡し、雲領域の面積、最大反射強度、体積などのパラメータを自動で抽出することが可能となった。これらの雲のパラメータの時間変化を利用して、発達する雲と衰弱する雲を自動で識別するプログラムを作成した。さらに、3次元の雲レーダーデータ(反射強度)において、衰弱する雲を取り除いて同化に利用しないようにすることで、発達中の雲のみを選択的に同化することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予定していた雲レーダーの選択的同化手法の開発ができた。本手法は実用化に向けた問題解決の肝であるため、選択的同化が可能になったのは今後の研究の遂行に対して大きな成果である。このため、進捗状況は概ね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
開発した選択的同化手法を利用して、発達する雲のみを同化した予測実験を行うことで、偽の雨を抑えることができるか検証する。成果を学会等で発表するとともに、論文化を進める。また、雲レーダーと降水レーダーを組み合わせた予測手法の開発にも着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は雲レーダー同化プログラムの作成に注力し、国際学会での発表を見送ったため海外出張旅費を次年度に持ち越した。また、計算機やハードディスクについても円安の影響もあり価格が高騰していたため、購入を次年度に持ち越した。次年度は国際学会等で積極的に成果を発表するため、その旅費として使用するとともに、計算機とハードディスク等を購入する予定である。
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