研究課題/領域番号 |
22K04358
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
秋山 孝正 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70159341)
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研究分担者 |
井ノ口 弘昭 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (10340655)
奥嶋 政嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20345797)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 深層学習モデル / 都市高速道路 / 需要対応型料金 / 路線別料金設定 / メタヒューリステック手法 |
研究実績の概要 |
本研究では、まず都市高速道路料金設定に関する道路交通流解析を行う「深層学習モデル」を構築した。通常の道路交通流解析を行う場合に、現実規模の都市道路網に対して、(1)都市高速道路の料金設定(対距離料金関数)・OD交通量を設定する、(2)等価な数理計画問題である利用者均衡配分(UE)の算定結果(リンク交通量)を求める、(3)都市道路網道路交通流パターンから経済便益(社会的不便益の減少)の評価指標を算定するということから、比較的計算労力の大きい「道路交通流解析」を実行する必要がある。すなわち、都市道路網構成(ネットワークデータ)と道路区間特性(リンク属性データ)が設定された際に、道路交通流(リンク交通量)を算定する方法である。 本研究では、これら特定のネットワーク・リンク属性データが既知である場合の一連の計算手順を、非線形関係として学習した「深層学習モデル」を構築した。すなわち、高度な非線形計画問題の解法手順を入力パターン(OD交通量、都市高速道路料金設定)と出力パターン(代表的経済評価値)の教師データ(ビックデータ)を蓄積した。つぎに、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による「深層学習モデル」を構成して知識獲得を実行した。この結果、料金設定に伴う経済効果を算定する「道路交通流解析モデル」を構築した。すなわち、非線形数理計画を用いた解析手順を簡便化でき、都市高速道路料金に起因する都市道路網に対する交通調整効果を算定した。たとえば、都市高速道路の社会的最適な対距離料金(全路線一律)のパラメータを「深層学習モデル」の評価値に基づいて算定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究は、当初の研究計画通りにおおむね順調に達成できた。具体的には、都市高速道路料金設定に関する道路交通流解析を行う「深層学習モデル」が構築できた。また、関連する学会において研究成果を報告・討議して、改善点の検討などを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、都市高速道路の料金設定に関する評価が可能な「深層学習モデル」の適用を検討する。特に一律対距離料金を空間的な需要変動に対応する「路線別料金」の設定を考える。具体的には、(1)路線別対距離料金を想定して、深層学習モデルの教師データを作成する。(2)深層学習モデルの学習によりCNNの結合パラメータを算定する。(3)路線別料金では、路線単位の料金パラメータを設定する必要があり、複数パラメータ値の組み合わせ最適化問題を作成する。(4)組み合わせ最適化問題は、既存研究で検討されたGA・ACOなどのメタヒューリスティクス手法を用いて実用的に算定できる。この手順から、「路線別の需要変動を考慮した料金」(路線別料金)の設定が可能となる。 2024年度は、空間的交通需要に加えて「時間的変動」を考えた路線別料金を考える。現行のETC2.0などのデータ蓄積を前提とした時間的に変動するOD需要を考える。具体的には以下の手順で検討する。(1)都市道路網の現実的に観測可能なOD交通量データを蓄積する。(2)観測されたOD交通量データより具体的な日変動パターンを設定する。(3)路線別料金設定において、開発された「深層学習モデル」(道路交通流解析モデル)を用いて、OD交通量の変動時の最適な「路線別料金」を設定する。(4)この場合も組み合わせ最適化問題として定式化されるため、メタヒューリスティクス手法を用いて算定できる。空間的な需要変動に加えて、時間的な需要変動(日変動)に対応した「路線別料金」が提案できる。さらに時間的な需要変動は、日常的な変動以外に大規模イベント開催、交通事故・非常事態に対応する場合にも同様の算定が可能である。この場合も「深層学習モデル」による簡便な近似的計算結果から多様な料金設定を想定した最適化が検討できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定の学会がオンライン開催になったため、学会出張旅費などに残額が発生した。2023年度及び2024年度は学会が対面開催のため、出張旅費に使用する予定である。
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