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2023 年度 実施状況報告書

低密度地域における持続的なモビリティ確保戦略

研究課題

研究課題/領域番号 22K04362
研究機関福島大学

研究代表者

吉田 樹  福島大学, 経済経営学類, 教授 (60457819)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードモビリティ / 低密度地域 / 公共交通 / 持続性
研究実績の概要

人口が低密度に分散する地方中小都市や農山村地域(低密度地域)の生活者は,自家用車を保有することで,高いモビリティを獲得してきた。しかし,高齢ドライバーの交通死亡事故リスクは高く,自家用車の運転を補完/代替するモビリティの確保が求められている。
本研究は,オンデマンド運行やタクシーの定額制サービスなど,小規模需要に対応した公共交通の導入適性や,自家用車による送迎サービスも含めたモビリティ提供主体の持続的な運営に資する要因を明らかにする。そのうえで,モビリティの運行で得られる活動機会と負担との組み合わせを地域住民とともに選択する実用的な方法を構築することで,低密度地域における持続的なモビリティ確保戦略を示すことが目的である。
研究二年目(2023年度)は,定額制タクシーサービス「ヤマグチくん」(郡山市安積町)を事例に,時間帯や区域・区間を限定したタクシーのサブスクリプションが高齢者の自立した外出機会を増やすことを定量的に示したうえで,運行区域の面積や形状によっては,相乗り時の輸送効率が高まり,事業の継続可能性が向上することを明らかにした。これらの成果は日本福祉のまちづくり学会で発表し,大会優秀賞を受賞した。
また,高齢者による運転免許の自主返納(申請による運転免許の取消)に影響する要因に関して,家計支出や農林漁業への従事に着目して分析した論文を発表したほか,山形県南陽市沖郷地区の住民協議会が運営するタクシー補助制度「おきタク」を事例に,利用者アンケート調査を行い,選択型コンジョイント分析を試みることで,タクシー補助制度による地域交通サービスの持続性を高める方策を検討した論文を投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初,小規模需要に対応する公共交通の導入に適した地域条件を検討するため,都道府県や運輸支局等を対象にしたアンケート調査を行い,事例を網羅的に把握する予定であったが,道路運送法の運用変更により「自家用車活用事業(いわゆる日本版ライドシェア)」が創設されるに至ったため,設問内容を変更して,令和6年度の実施に計画を変更した。
一方,COVID-19禍における外出機会の減少が収束し,ホスト自治体/地域における実証研究は概ね計画通りに行うことはできており「おおむね順調に進展している」と評価する。

今後の研究の推進方策

小規模需要に対応する公共交通の導入に適した地域条件を検討するため,都道府県や運輸支局等を対象に事例を網羅的に把握するアンケート調査は,道路運送法の運用変更により「自家用車活用事業(いわゆる日本版ライドシェア)」が創設されるに至ったため,令和6年度の実施に変更したが,設問内容の変更は済ませており,円滑に実施できる状況にある。
また,ホスト自治体/地域において,モビリティの運行で得られる活動機会と負担との組み合わせを地域住民とともに選択するための方法論の構築については,山形県南陽市沖郷地区で既に試行した。これをもとに,他地区へ展開し,研究期間全体の取りまとめを行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

道路運送法の運用変更により「自家用車活用事業(いわゆる日本版ライドシェア)」が創設されるに至ったため,都道府県や運輸支局等を対象に事例を網羅的に把握するアンケート調査を令和6年度の実施に変更した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 地方自治体によるデマンド交通及びコミュニティバスの導入効果の発現要因に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      竹内龍介,吉田 樹,尾崎光政
    • 雑誌名

      土木学会論文集D3 (土木計画学)

      巻: 78(5) ページ: I_627~I_637

    • DOI

      10.2208/jscejipm.78.5_I_627

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域公共交通の災害復旧と災害時における運用2023

    • 著者名/発表者名
      吉田 樹
    • 雑誌名

      月刊ガバナンス

      巻: 294 ページ: 19-21

  • [雑誌論文] 「おでかけ」を支える地域公共交通の持続的なサービス提供に求められる工夫2023

    • 著者名/発表者名
      吉田 樹
    • 雑誌名

      運輸と経済

      巻: 918 ページ: 35-39

  • [学会発表] 運転免許自主返納に影響する要因と乗用タクシーの定額制運賃設定に関する考察2023

    • 著者名/発表者名
      吉田 樹
    • 学会等名
      第67回 土木計画学研究発表会
  • [学会発表] 定額制タクシーサービスの継続要件と高齢者のモビリティ確保に関する考察2023

    • 著者名/発表者名
      吉田 樹
    • 学会等名
      日本福祉のまちづくり学会 第26回 全国大会
  • [学会発表] 地域と暮らしの持続性を高める交通計画-地方都市・農山村地域を念頭にー2023

    • 著者名/発表者名
      吉田 樹
    • 学会等名
      土木学会土木計画学研究委員会ワンデイセミナー「30年先を見据えた交通計画」
  • [図書] 地域公共交通政策論 第2版(第2章 公共交通の再生からデザインする「地域づくり」を執筆)2024

    • 著者名/発表者名
      宿利 正史、軸丸 真二
    • 総ページ数
      258
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      978-4-13-042156-0
  • [図書] バスサービスハンドブック 改訂版(吉田は編集委員として第Ⅱ編を担当)2024

    • 著者名/発表者名
      土木計画学研究委員会 規制緩和後におけるバスサービスに関する研究小委員会
    • 総ページ数
      546
    • 出版者
      土木学会
    • ISBN
      978-4-8106-1097-0

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公開日: 2024-12-25  

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