研究課題/領域番号 |
22K04365
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 優介 京都大学, 工学研究科, 助教 (20713556)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | クラスタリング / ソーシャルメディア / 被写体 / 機械学習 / 観光 / 写真 |
研究実績の概要 |
本研究では,写真共有サービスから得られる位置情報付き写真を用いて,観光者の興味と行動,さらには観光地である場所の特性を明らかにする手法を確立し,観光の時空間的分散が可能な観光者層を明らかにする.具体的には次の2つを実施する.(1) 機械学習のプログラムと自然言語処理の手法を新たに導入して,仮説的な分析枠組みの改善を試み,各写真の被写体の重みづけを考慮した観光者の興味を類型化するアルゴリズムを開発する.(2) 写真の位置情報等から観光行動を推定する手法と,観光地である場所の特徴とを把握する手法とを明らかにし,実際の流動データとも比較することで,興味・行動・場所の3点の関連を明確化する. (1)に関しては,写真の分類の高度化のために,写真の各画素を分類可能な機械学習モデルの一つであるセマンティック・セグメンテーションを,予備的分析に用いた写真群に対して適用し,手法の有効性の把握を試みた.画像認識により取得したラベルに基づく既存の分類方法を補完し,分類を高度化できる可能性が示された. (2)に関しては,京都市とその周辺地域を対象に,位置情報付き写真を写真共有サービスから収集し,観光行動に影響すると考えられる居住国,ならびに写真撮影のためのデバイスについて推定する方法を検証した.これらの特性とともに,画像認識により取得したラベルに基づく写真の特徴とを組み合わせ,地理情報システム(GIS)を用いて撮影位置の密度分析を行い,撮影者の興味と行動の関係の把握を試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究内容(1)に関しては,セマンティック・セグメンテーションによる画素の分類自体の信頼性については今後も検証が必要であるものの,一定の有効性が示されており,既存の分類との混合に必要な情報が得られている.研究内容(2)に関しては,GISにおける分布を用いた分析手法以外にも,対応分析を用いた手法についても検討を進めており,特に個人の特徴と行動との対応をより明確化できる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
おおよそ当初の研究計画の通りであるが,研究内容(1)に関しては,自然言語処理の手法の一つであるトピックモデルの導入を想定し,画像認識に基づく既存の分類,および今年度実施したセマンティック・セグメンテーションによる分類との組み合わせを検討する. 研究内容(2)に関しては,京都市周辺部の実流動データとしてポイント型流動人口データを使用し,観光に関わる撮影行動と実際の行動との差異を見ることで,興味を抱く観光地と個人の特性との関連の把握を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に実施予定の解析内容(ポイント型流動人口データによる行動分析)について,データ量の関係から相当の計算機の性能が求められることなどを勘案し,ワークステーションの導入を次年度に繰り越した.次年度経費と合わせて導入を計画している.
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