研究課題/領域番号 |
22K04379
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
樋口 隆哉 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40300628)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 悪臭 / 臭気モニタリング / 嗅覚測定 / 臭気強度 |
研究実績の概要 |
本研究では、悪臭発生現場における感覚的評価による臭気モニタリング手法を確立することを目指して、臭気強度測定用基準臭セットおよび可搬型臭気指数測定装置を開発し、それらを構成アイテムとする嗅覚測定パッケージを作製することを目的としている。このパッケージを提供することで、現場における迅速かつ正確な臭気モニタリングの実施が期待できる。 今年度は、昨年度に選定した臭気強度測定用基準臭物質のうち、実用性の観点から1-ブタノールを削除して、プロピオン酸、プロピルアミン、酢酸エチルおよびイソブチルアルデヒドの4物質を対象とした。そして、各基準臭物質について、悪臭防止法による規制基準レベルをカバーする6段階臭気強度表示法の強度2、3および4におおよそ対応する濃度の設定を行った。以上のようにして、臭気強度測定用基準臭セットを作製した。 続いて、作製した基準臭セットが臭気強度評価において有用であるかどうかの検証を行った。具体的には、基準臭セット使用前と使用後の、試料臭気の設定強度と実際の回答の差を比較した。その結果、すべての基準臭物質について、基準臭セットを使用した方が試料臭気の強度をより正確に評価できていることが確認できた。また、試料臭気と基準臭セットが同じ物質である方が試料臭気の設定強度と実際の回答の差が小さくなったことから、複数種類の基準臭物質を用意することの有用性を示すことができた。一方で、高濃度域および試料臭気の設定強度が半整数であるときの有効性をさらに検証する必要があると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臭気強度測定用基準臭物質の選定および濃度段階の設定を行い、基準臭セットを作製することができた。一方で、可搬型臭気指数測定装置の作製については作業が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
臭気強度測定用基準臭セットについては、有効性の検証に関するデータの蓄積を継続する。また、可搬型臭気指数測定装置については装置作製を行い、模擬試料を用いた公定法との比較実験および検証実験を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
可搬型臭気指数測定装置の作製等について進捗が遅れているため、次年度使用額が生じた。翌年度分とあわせて、臭気強度測定用基準臭セットの有効性の検証および可搬型臭気指数測定装置の作製等に使用する予定である。
|