研究課題/領域番号 |
22K04391
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松川 和人 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50709186)
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研究分担者 |
中埜 良昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10212094)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 鉄骨造 / 旧基準 / 隅肉溶接 |
研究実績の概要 |
2022年度は,鉄骨造建築物の耐震診断に関係する技術資料の収集,文献調査,試験体の設計と調達,実験計画を完了した。収集した資料は,耐震診断基準をはじめ,実際に診断実務で利用されている基準書等である。本研究で対象とするダイアフラムの無い梁端仕口部の強度は,日本建築学会「鋼構造接合部設計指針」に記載の理論式で評価できる。一方,従来から診断実務で用いられる式を用いて計算した梁端仕口部の曲げ強度は,建築学会の指針による強度と比べて非常に値が低いものであった。梁端仕口部は隅肉溶接であることが多いため,溶接のサイズが小さい場合は小さな強度となることは考えられるが,十分なサイズがあれば,上記の理論式程度の強度を発揮することは可能であると思われる。このため,ダイアフラムの無い梁端仕口部の強度を調査すべく,4体の試験体を設計した。試験体は実大スケールで,実建物にて確認された接合部仕様を参考に設計した高さ3m×幅2mの実大ト型柱梁接合部フレーム(柱は上階と下階との高さ方向中央までを切り出し,梁はスパン中央までを切り出したもの)であり,柱はH-200x200x8x12,梁はH-300x150x6.5x9である。実験パラメータは梁端仕口部の隅肉溶接のサイズと日の字カバープレートの有無である。2022年度にはこの試験体の施工を完了し,実験場へと搬入した。また,試験体の設置方法,加力方法,計測方法,準備計算等を含む実験計画も立案した。この試験体の加力実験は,2023年度の早い時期に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の実験は,2022年度中に実施する予定であったが,2023年度の早い時期に実施する予定である。このため,「(3)やや遅れている」と判断した。遅延の理由は,古い基準に記載されている(本研究で着目している)強度式の原典や技術的背景を調べることに想定以上の時間がかかったことである。参考となりそうな書籍の多くは絶版書籍であり,それを探すのに想定よりも多くの時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の遅延は1カ月程度のものであり,これからの効率的な研究活動によって,挽回可能である。よって,遅れを取り戻すべく,効率的かつ精力的に研究活動を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
古い文献の調査や技術的背景の分析に時間がかかり,実験実施に関する費用の支出が2023年3月から4月へと,1カ月ほど後ろ倒しになったため。実験実施に関する支出(実験所利用料や実験用消耗品の購入費)として,2023年度の早い時期に支出する予定である。
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