研究実績の概要 |
コンクリートに高炉スラグ細骨材(以下,BFS)を用いた場合,強度増加・収縮低減・中性化抑制といった効果がある。したがって,金属系スラグ骨材を用いることで省資源型の高耐久性骨材としての有効利用が期待される。しかしながら,現在もコンクリート用骨材として積極的に利用されていないのが現状である。その要因の1つとして,高炉スラグ細骨材の固結現象があげられる。高炉スラグは,潜在水硬性を持つため,水和反応を起こして硬化する。細骨材として使用する場合,潜在水硬性によってスラグ細骨材が塊状化する固結現象が起こる場合がある。一度,固結すると細骨材として使用が困難になることが指摘されている。 そこで,このような固結に関する課題を解決するために,保管条件がコンクリートに与える影響を検討し,高炉スラグ細骨材の保管方法,消費期限の決定方法の提案を行うことで,高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの利用拡大につながると考える。そこで2023年度では,保管環境条件がBFSに与える影響(STEP1),BFSの変質が遮塩性に与える影響(STEP2)に関し検討をした。 その結果,以下の知見が得られた。 (1)高炉スラグ細骨材の変質には保管時の水分条件よりも,保管温度および保管期間が大きく影響していると考えられる。(2)本研究の条件で保管すると,保管温度4040℃,積算温度48004800°D ・D までは塊状化せず,骨材として使用できる。(3)モルタル中での高炉スラグ細骨材界面では,天然骨材界面で見られた不連続な面が減少し,骨材周辺の緻密化が確認できた。
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