研究実績の概要 |
本研究では建物が1次元成層構造を想定し,水平方向の振動はせん断波が建物の基礎と屋上の間に鉛直方向で繰り返し伝搬する視点に基づく波動干渉法を用いて波動場の再構築により波動の減衰を評価する。2022年度で得られた研究成果の概要が以下に示す。 (1)中心振動数が異なるRicker Waveletを用いて,入力振動の周波数成分により励起した建物の応答に含まれる有効周波数範囲が減衰評価に与える影響を検討した。入力振動の周波数特性により影響を検討するため,本研究では中心振動数が1Hz, 3Hz, 5Hz, 7Hzおよび9HzのRicker Waveletを用いて, 5層の建物に各層での伝搬時間は0.05秒で想定し,繰り返し伝搬する波動を作成した。減衰定数hが1%に設置した。中間層での反射は考慮されてない。Ricker Waveletで作成した元々の波動場から構築した仮想震源が屋上に配置したインパルス応答で構成した新波動場から評価した減衰関数は、設置値と比較した。中心振動数が大きい場合,逆重畳波のパルスの幅が十分に狭くなり,上昇波と下降波が完全に分離でき,減衰関数が設定値とほぼ一致することが明らかにした。 (2)建物模型の振動台実験を用いて入力振動によって波動干渉法で評価した減衰関数を検討した。模型の任意加振実験とホワイトノイズ加振実験の減衰関数を検討した。任意加振実験で励起した主な振動モードが1次モードで,有効周波数範囲が狭いので,逆重畳波のインパルスの幅が広くて,得られた減衰関数の平均値は2% であり,自由振動の結果より過大評価した。一方,ホワイトノイズ加振実験では2次モードまで励起され,逆重畳波の上昇波と下降波のインパルスの幅が狭くなり,完全的に分離できるので,得られた減衰関数の平均値は,自由振動の結果と概ね同じであることが分かった。
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