研究課題/領域番号 |
22K04431
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
尹 奎英 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 教授 (80437079)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メンブレン除湿機構 / 省エネルギー / 温熱快適性 / 認知能力 |
研究実績の概要 |
メンブレン導入による省エネルギー量(再熱不要による消費量削減分と過冷却キャンセルによるチラー消費エネルギー削減分)と増エネルギー量(真空ポンプによるエネルギー増加分)を表すバランス式を導き、メンブレン導入により期待できる省エネルギー性能を簡便に評価できる手法を提案した。その成果により、再熱のための熱源機器の効率(例えば、ボイラ効率、電気ヒーター効率)、チラーの運転性能を設定すれば、メンブレン導入により得られる省エネルギー効果量を算定できる。また、真空ポンプにより増えるエネルギー量と比較して省エネルギー効果が期待できる条件を導ける。さらに、異なる2つのメンブレンの導入方法(例えば、冷却コイルの前か後かの導入方法が存在する)に対して、前述の観点から評価できるようにして、冷却コイルのあとにメンブレンを導入する方法のほうがメンブレンを導入する条件が広範でエネルギー性能も高いことを示した。この研究成果は国際会議(Indoor Air Quality Ventilation and Energy Conservation 2023)にて発表した。 メンブレン導入により湿度を現在のシステムに比べてより自由に制御できることから、湿度が与える人体の温冷感、知的生産性への影響を調査した。被験者実験を行い、湿度がもたらす人体への心理、生理反応を調査した。湿度が高い条件下では心拍数が高くなる傾向にあり、その度合いは女性に比べて男性のほうがよい大きいことがわかった。認知能力についても湿度に対する有意な差が得られており、その研究成果を国際ジャーナルに投稿中である。 昨年度制作したメンブレン実験体を改造しメンブレンモジュール数の追加や変更が容易にできるユニットの開発に取り掛かり、改造案をまとめた。 また、メンブレンを採用したシステムの期間運転性能を確かめるために、システムシミュレーションの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の主な取り組み内容は、1)シミュレーションによるメンブレン導入の期間運転性能評価、2)湿度による人体への生理、心理量、認知能力への影響調査を継続、3)メンブレン除湿機構のユニット改造の3点である。 1)については、建物用途、システム種別ごとに条件を設定してメンブレンの導入効果を期間運転性能の視点で評価し取りまとめる。 2)については、昨年度行った条件をベースに28℃下で異なる湿度環境を再現し人体への影響を調査する。 3)については、メンブレン除湿機構を改造しモジュールの数を容易に追加及び変更できるユニットを完成させる。そして、その除湿性能を確かめて、開発したユニットの信頼性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
メンブレン除湿機構の改造作業を次年度に遅らせて行うことにし、次年度使用額は発生した。
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