研究課題/領域番号 |
22K04433
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研究機関 | 足利大学 |
研究代表者 |
齋藤 宏昭 足利大学, 工学部, 教授 (20597827)
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研究分担者 |
森 拓郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00335225)
堀澤 栄 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (20368856)
中嶋 麻起子 広島工業大学, 工学部, 助教 (40773221)
小椋 大輔 京都大学, 工学研究科, 教授 (60283868)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 木材 / 腐朽 / 水分移動 / モデリング |
研究実績の概要 |
本研究では、柱材の木口腐朽における水平断面での腐朽度のバラツキを、木材の組織構造に起因する物質移動特性との関係から解明を試みるものである。これまでの検討では、腐朽処理したアカマツ心持ち材のCT画像の分析を試み、木口腐朽では晩材率により含水率や腐朽度の差異が見られたものの、輝度値の比較だけでは腐朽領域の詳細な把握は困難であった。そこで本研究では、はじめに腐朽処理をした木材のCT画像を、三次元画像処理ソフトを利用し輝度値の頻度を考慮することにより可視化し、腐朽進行の空間的な推移の把握を試みた。 一般に、輝度値の頻度を考慮した可視化は、工業製品や土質のような比較的均質な材料内の弱点部検出を目的とした適用例が多いが、木材は密度の異なる空隙、早材、晩材、樹脂等から構成されるため、詳細な設定が必要になる。そこで、これら早晩材等に対し輝度値の閾値を設定し、腐朽処理前後の画像を再構築したところ、腐朽による密度低下の箇所を明確に示すことができ、可視化により試料内の腐朽進行を解釈するための手法を構築できた。 上記手法により、木口腐朽の時間変化を検討したところ、腐朽初期には晩材に比べ早材の密度低下が顕著で、早材部の仮道管を経由した菌糸や水蒸気の供給が原因であることが推測された。また、別途行った柾目腐朽の可視化結果からは、側面となる木口部分からの菌糸の周り込みも確認されており、腐朽現象を従来に比べて詳細に把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、腐朽材の可視化技術について検討し、おおよそ当初の目的を達成できた。現在、腐朽操作の有無による、水蒸気及び液水の移動物性の測定を開始しており、実験はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、過去の測定データを使用し可視化手法を構築できた。今後は、繊維方向の水分移動と腐朽進行について、菌糸自体の水分輸送の影響や早晩材における差異を検討する。 初めに、柱脚材をマクロに捉えた際の蒸気拡散及び液水移動について、菌糸の有無による影響を測定する。これは、腐朽操作前後の透湿試験や吸水試験の結果を分析することによって、菌糸や組織構造の影響を考察する。 次に、腐朽材の微小領域のCTデータを収集、可視化ソフトで再構築することにより、物質移動や菌糸成長に対する木材の組織構造を考慮したモデリングに寄与する知見を得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由については、以下の①、②により実験の実施が遅れたことが原因である。 ①実験の準備段階で、本研究を遂行するうえで最も重要な、CTデータを用いた木材内部の密度や腐朽度の確認方法について、三次元画像処理ソフトの利用が最適であることが判明し、検討が必要となった、②関連研究の調査により、CT画像の撮像領域について精査したところ、試料寸法・測定装置の見直しが必要となった。 繰り越した予算については、当初通りの実験を行う際に順次支出する予定である。
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