研究課題/領域番号 |
22K04438
|
研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
山口 温 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (40276621)
|
研究分担者 |
堤 仁美 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (00409690)
大塚 雅之 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (20288088)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 温熱環境 / 衛生環境 / 窓開放 / 感染症対策業務 / 苦労感 / 大便器 / 飛沫拡散 |
研究実績の概要 |
本研究は、0歳から5歳の初期の発育期において、乳幼児の年齢と年齢別の保育の特性に応じた室内環境の基準を提案するものである。2022年度は保育施設の建築的特性、実使用状況と保育環境の把握するため、保育施設の温熱環境実測を実施した。併せて、保育施設管理者に対して温熱及び衛生環境に関するヒアリング調査を実施し、保育施設の実使用状況を把握した。 温熱環境については、神奈川県横浜市に建つ3階建ての鉄筋コンクリート造のこども園を対象に自然室温状態及び実運用時の保育室を実測した。建築的特徴が温熱環境に与える影響及び月年齢別の保育室の温熱環境を把握した。コロナ禍において感染拡大を抑制するための窓開放状況を把握するため、ビデオ撮影から開口部の窓開放時間と室内の温湿度、二酸化炭素濃度との関連を確認した。機械換気のみを実施している保育室では、感染防止として推奨される二酸化炭素濃度1000PPMを超える時間帯が保育時間の大半を占めることを把握した。また、学校環境基準等で示されている基準に対し、特に冬期ではその基準を達していないことなどが明らかになった。我々の先行研究で示したヒアリング調査から得た窓開放状況による換気回数をもとにシミュレーションから算出した熱負荷と比較した。 一方、感染対策業務によって職員の業務増加、苦労感の増加が推察された。ヒアリング調査から特に室内の清掃消毒や換気といった室内環境調整に苦労感を感じている結果を得た。衛生環境に関しては、保育施設用の乳幼児専用の大便器を用いて、糞口感染の要因となる洗浄時飛沫の拡散状態を実験的に把握し、便蓋等の設置など衛生性の必要性を指摘した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、複数施設の調査を予定していたが、コロナ禍の状況もあり現時点で1施設に限定されているため。また、アンケート、ヒアリング調査について、さらに設問項目を精査する必要があると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
温熱環境については、0歳から5歳までの年齢別の特徴と保育施設の物理的室内環境及びエネルギー消費量について、より詳細な調査を実施する。今年度の実績から温熱環境において、環境基準を満たさない状況が確認でき、今後は既往研究等から子どもの活動や代謝による影響について明らかにする。また、空気環境についても同様に環境基準を満たさない保育環境の改善策について検討する。 室内の清掃消毒や換気といった室内環境調整に関わる感染対策業務による苦労感については、科学的エビデンスに基づく効果的な清掃方法を検討していく。 衛生環境については、トイレ環境の空間配置、動線、子ども用トイレの使用及び手洗いの行動を調査する。排泄やトイレ排水時の飛沫及び接触による感染の防止対策を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究を継続するために、下記に使用する。 ・温熱環境実測、アンケート調査、子どもの手洗い状況調査に関連する機器、消耗品、人件費、謝金 ・シミュレーション計算の研究協力者への謝金 ・関連学会での成果発表、投稿費用
|