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2023 年度 実施状況報告書

近隣スケールの環境評価に資する非一様な都市内部風速の鉛直分布パラメタリゼーション

研究課題

研究課題/領域番号 22K04448
研究機関一般財団法人電力中央研究所

研究代表者

中尾 圭佑  一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (40714473)

研究分担者 菊本 英紀  東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80708082)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード市街地内部風速 / 都市キャノピー / 気象再解析データ / Large eddy simulation / 固有値直交展開
研究実績の概要

○ 市街地内部風速推定手法の構築
市街地内部の風速は建て込み具合に依存して定まる。実在都市の建て込み具合を表現する指標である、建物高さの標準偏差・最大建物高さ・最小建物高さ・建蔽率・風の当たる見付面積率、を入力パラメータとして風速鉛直分布を構築する手法の提案を行った。本手法の新規性は、指数分布で表現される低層、対数分布で表現される高層の間に、中間層を設け、建物高さのばらつきの影響をその層の力学特性として考慮する点にある。結果として、都市内部の風速値を高さの関数として算出できるようになった。提案手法は、入力パラメータ特性に応じて多様な風速分布を算出することがわかり、その妥当性が既存の都市風速データベースとの比較により検証された。本提案手法は、大気下層の摩擦速度について妥当な再現性を有していることが確認された。また、大気安定度にも感度を有するパラメータ設定が可能であることがわかった。
○ 気象データに基づいた風速場の時空間分布の補外技術の構築
高い観測値との整合性と、高い解像度の双方を満たす気象再解析データは存在するものの、データの存在する期間の短さが課題となっていた。固有値直交展開とLinear stochastic estimationの併用により観測値とデータの関係性を数理的に構築し、長期の観測値を入力としてデータを拡張する手法を適用し、風速再現性を確認した。関東域を対象として、建築工学分野において用いられる指標値である風速べき指数の空間的分布を分析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、今年度において都市風速の推定手法を確立する予定であり、それについて滞りなく進行できた。また、長期気象データの構築に関する論文が公知化されており、要素技術に関する検証が完了している。これらの進捗は最終年度である次年度計画を円滑に進める上で十分な達成点であると考える。

今後の研究の推進方策

○ 市街地内部風速推定手法の精度検証
一般公開されている観測データセットの分析を進めつつ、構築した風速推定手法の大気安定度依存性を検証する。近年、欧米・アジア諸国の各地域で行われたフラックス観測データが統一的に公開され、構築した風速モデルの動作検証を行えるようになっている。これらのデータを通して、モデルに必要なパラメータの精査を行い、市街地内部風速の気象データとの接続性を検証する。
○ 気象データに基づいた温度場の補外
これまで風速を主として検討してきた気象データの拡張技術だが、温度場についても技術適用性を検証する。都市の暑熱環境を評価するための土台となるデータの構築を目指す。
○ 二つの手法の結合による都市内部風速の特性把握
上記二点の手法を併用することで、多様な都市形態を反映した都市内部風速の長期的特性を把握できる手法の構築を行う。近年のデータ公開性の潮流から、日本においては市街地形状データが手に入りやすく、モデルが要求するパラメータの算出にも親和的な背景がある。これらを踏まえ、都市形態および長期気象特性を考慮した都市内部風速の特性評価を行なっていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

計算機の購入に際して、部品調達の関係から納期設定が難しかったため、購入時期を2024年度に延期した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Investigation of spatial variability in power law index of wind profiles above the urban area around Tokyo Bay based on local objective analysis data2023

    • 著者名/発表者名
      Xiang Wang, Hideki Kikumoto, Hongyuan Jia, Chao Lin, Keisuke Nakao
    • 雑誌名

      Journal of wind engineering and industrial aerodynamics

      巻: 240, 105471 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1016/j.jweia.2023.105471

    • 査読あり
  • [学会発表] Representing wind speed profile through an urban canopy with variable building height2023

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Nakao, Hideki Kikumoto, Hiroshi Takimoto, Xiang Wang, Hongyuan Jia
    • 学会等名
      11th International Conference on Urban Climate
  • [学会発表] Study on utilization of local objective analysis data for microclimate prediction (Part 2) Reproduction of long-term high-resolution data in urban areas by POD-LSE method2023

    • 著者名/発表者名
      Xiang Wang, Hideki Kikumoto, Chaoyi Hu, Hongyuan Jia, Keisuke Nakao
    • 学会等名
      2023年度日本建築学会大会
  • [学会発表] Estimation of near-ground wind velocity and temperature in the urban area around Tokyo Bay based on local objective analysis data and the POD-LSE method2023

    • 著者名/発表者名
      Xiang Wang, Hideki Kikumoto, Chaoyi Hu, Hongyuan Jia, Keisuke Nakao
    • 学会等名
      16th International conference on wind engineering
  • [学会発表] Reproduction of long-term wind speed distribution fusing local objective analysis and observed data by the POD-LSE2023

    • 著者名/発表者名
      Xiang Wang, Hideki Kikumoto, Chaoyi Hu, Hongyuan Jia, Keisuke Nakao
    • 学会等名
      日本風工学会年次研究発表会

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公開日: 2024-12-25  

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