研究課題/領域番号 |
22K04449
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
三宅 諭 三重大学, 工学研究科, 教授 (60308260)
|
研究分担者 |
佐久間 康富 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30367023)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 東日本大震災 / 復興検証 / 事前復興計画 / プロセス / 計画論 |
研究実績の概要 |
東日本大震災からの復興検証については岩手県沿岸自治体に対して復興を振り返るヒアリング調査を行い、事前想定に求められることの整理を行った。多くの自治体から瓦礫置き場や仮設住宅用地を事前に想定しておくことの重要性が指摘された。災害発生後に様々な事務処理を同時並行で進める必要が有り、可能であれば公有地を確保しておくことで用地確保のプロセスを簡略でき、町の変化を見せることで被災者も復興の進捗を確認できるので心理的に落ち着けること、計画策定に早期着手できることが明らかになった。また、大規模災害では人員不足になるため、平時から人事交流を行ったり、応援職員の泊まれる場所を確保することが指摘された。つまり、発災後に応援職員の受入体制を整えるのではなく、平時から交流を進めることの重要性が明らかになった。 事前復興計画については、既に事前復興計画を策定した和歌山県のみなべ町、太地町、那智勝浦町を事例に計画策定プロセスに関するヒアリングおよび現地調査を行った。みなべ町では住民参加によるボトムアップ形式で計画を策定したこともあり、地区毎の具体的内容が示されている。一方、太地町と那智勝浦町は都市計画マスタープランとの整合性を念頭に行政が主導する方式で計画を策定している。地区別の具体的計画よりは町全体としての将来イメージが明確となっている。3町とも和歌山県による事前復興計画策定の支援補助が契機となっており、基礎自治体も事前復興計画の必要性を認識していること、支援があることで進展することが明らかになった。また、計画策定のプロセスについては市町の特性に応じて対応できることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の三宅が岩手大学から三重大学へ異動したこと、岩手県への移動に日数と時間を要することから岩手県の復興に関する検証が少し遅れている。 しかし、和歌山県を事例とした事前復興計画の資料収集およびヒアリング調査が進んでいること、三重県内の事前復興に向けた取り組みに関する調査に着手できたことを考えると、概ね順調に進んでいる。特に年度後半は調査研究の時間を確保でき、上述のように先行できることを先行させた。 また、岩手県内自治体への予備調査を行い、事前復興に求められる多様な項目の中でも復興経験者が真っ先にあげた項目を整理することができた。今年度はそれを元に調査を進められるのでおおむね順調に進んでいると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
岩手県では2023年度に陸前高田市、釜石市、大槌町、山田町で行ったヒアリング調査をもとに、発災から復興事業完了までの節目とそこでの課題を整理する。その上で再度沿岸市町村へヒアリング調査を行い、事前復興計画に求められる項目を明らかにする。また、みなべ町、太地町、那智勝浦町の事前復興計画を参考に意見交換を行う。加えて、事前復興の取り組みの遅れている三重県沿岸の地図・写真を見ながら体験者の視点から予想される被災と課題を予測する。 和歌山県では、事前復興計画の内容を比較分析し、プロセスによる違いの有無を明らかにする。また長期的視点で都市構造の変化を実現しなければならない地区も多く、事前復興計画で取り組むべき方策を明らかにする。 三重県では、県南部の自治体を事例に防災対策から事前復興計画へ進展するための課題、県と市町の協力体制のあり方を明らかにする。さらに津、伊勢、四日市などの都市部では被災後の仮設住宅用地や土地利用変化について予測検討を行い、被災後の都市構造への影響を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が岩手大学から三重大学へ異動したため、岩手県への調査回数が減り次年度使用額が生じた。 今年度は未使用学を利用し調査日数を増やすため調査旅費で使用する予定である。また前年度成果を学会にも投稿しており、成果発表にも使用する予定である。
|