研究課題/領域番号 |
22K04485
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研究機関 | 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター) |
研究代表者 |
藤井 皓介 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, その他 (10759575)
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研究分担者 |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70305556)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 避難誘導 / DX / デジタルサイネージ / 空間行動 / 大規模施設 |
研究実績の概要 |
大規模施設の避難誘導に活用し得るデジタル技術、誘導灯による避難誘導の現状と課題を把握するため、実際の状況および関連法規について調査を行った。 主要都市圏の地下街、鉄道駅、商業施設を対象に誘導灯の設置実態ならびにデジタルサイネージを中心にデジタル技術を用いた日常の表示設備の設置・活用実態について現地調査を実施し、設置空間、建物用途、設置方法、表示面の向きを把握、整理した結果、これら分類により建物用途や設置空間により設置方法や設置数、表示面の向きに違いが見られた。鉄道駅においては柱面に設置されるアドピラー型のデジタルサイネージが経路に沿って連続して設置される傾向があり、一部地下街においても同様の設置状況が確認できた。この様な設置傾向のデジタルサイネージについては、表示面の視認性や連続かつ整列した配置から、避難誘導時の経路指示に利用できる可能性がある。また、避難誘導のための設備として消防法に規定される誘導灯は交通量に関わらず規定された距離範囲で連続的に配置されるが、表示面は固定されていることから火災発生場所やその他状況による経路の変更に対応していない。デジタルサイネージは表示内容が変更可能なことから、状況に応じた経路指示が可能となる可能性がある。一方、デジタルサイネージは日常的な広告表示の面が強いため、全ての空間に一様に配置されるものではなく通行量の特に多い場所や改札口付近に設置される傾向が高い。駅近郊であっても交通量の多くない場所では設置されにくいことを確認した。これは避難誘導時にデジタルサイネージを利用して連続した経路指示を行う際の課題の1つと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従い、本年度は、デジタル技術、誘導灯による避難誘導の現状と課題を把握するため、実際の状況および関連法規について調査を行った。具体的には、主要都市圏の大規模施設における現地調査に基づきデジタルサイネージの設置・活用実態に加えて避難誘導のための設備である誘導灯との違いを把握した。デジタルサイネージについて避難誘導における活用の可能性と課題を把握した。この様に研究は計画に従い、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、デジタルサイネージ等経路表示設備が指示する方向の認識に関するアンケート調査を行う。避難誘導効果を把握する実験の事前準備として、今年度の調査で得た設置実態をもとにデジタル技術による経路表示と設置空間の関係を把握し、空間に適した経路表示の要件を検討する。今年度の調査により、建物用途や空間により設置状況に違いがあることなど、次年度以降の調査および実験の想定に有用な情報が得られた。実験想定や分析の際に必要な情報に不足がある場合は、引き続き避難誘導および関連技術について調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画に対して、調査の効率化と機関の基盤経費の使用により旅費、交通費、物品費、謝金が計画よりも下回ったため残額が生じた。また、今年度の調査により今後の調査内容や実験条件の増加が見込まれ、データ取得のためには機器や人員等の研究体制の拡充が必要となる可能性が高い。データ取得のための研究体制の充実により有用な結果が得られることが想定されることから、本年度生じた研究費の残額を調査ならびに実験のための物品費および人件費・謝金に利用するとともに、次年度の避難誘導調査に使用することを予定している。
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