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2022 年度 実施状況報告書

持続可能な住宅地形成に向けた多様なビッグデータとAIを用いた住環境評価技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K04490
研究機関東京工業大学

研究代表者

沖 拓弥  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40712766)

研究分担者 小川 芳樹  東京大学, 空間情報科学研究センター, 講師 (70794296)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード街路印象評価 / 深層学習 / 街路全方位画像 / Webアンケート / GAN(敵対的生成ネットワーク) / 空き家 / 建物外観 / 回答者属性
研究実績の概要

1.景観や防犯・防災の観点から住宅地に悪影響を及ぼす可能性のある空き家について,東京都大田区から提供を受けた空き家データベースをもとに,その分布特性や外観の特徴などについて基礎的な分析を行った。
2.街路全方位画像ビッグデータをもとに,使用画像が1千枚規模,回答者数が1万人規模,評価項目数22という大規模な街路印象評価Webアンケートを複数回実施した。その結果を深層学習モデルに学習させることで,回答者による22項目の観点での印象評価を高精度(79.6%~91.1%)で予測可能な「街路景観の主観的印象評価推定モデル」を構築した。このモデルを用いることで,任意の街路の主観的印象評価スコアを数値で評価することが可能となった。また,主観的印象評価と街路構成要素との関係を分析した。さらに,性別,年代,居住都道府県別にアンケート結果を学習させたモデルを別途構築し,そのモデルにより得られるスコアを比較することで,性別,年代,居住都道府県ごとの印象評価傾向の違いについて検討を行った。
3.上述の「街路景観の主観的印象評価推定モデル」においては,画像内への建物の映り込みが少なく,建物外観の影響はあまり大きくない。そこで,街路全方位画像から建物外観画像を機械的に抽出し,それをもとにWebアンケートを実施することで,建物外観の印象評価推定モデルを構築した。このモデルを用いることで,様々なアングルや建物用途について,22項目から建物外観を数値で評価することができる。
4.上述の「街路景観の主観的印象評価推定モデル」で推定される印象評価スコアを参考に,「街路を具体的にどのように改善することで,好印象な街路を実現できるか」のヒントを得るための技術として,CycleGANという画像生成AIに高評価・低評価それぞれの街路画像を学習させ,好印象街路画像生成モデルを開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

印象評価AIについては高精度(79.6%~91.1%)で人々の主観的印象評価を推定可能なモデルを既に構築することができ,施策効果数値予測AIと将来街路画像予測AIの開発についても,予測精度や生成精度などに課題があるものの,当初予定よりも早めに着手することができた。さらに,建物外観評価や空き家分析など,当初計画にない内容も進めることができており,当初の計画以上に研究が進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

空き家分析については,大田区が把握している状態の悪い空き家のみならず,比較的状態の良い空き家も含めた分析を行うため,区内の複数の地域を対象に空き家の悉皆調査を実施した上で,地域特性や建物外観から建物単位の「空き家度(空き家である確率)」を推定する機械学習モデルを開発する。
街路印象評価については,天候や時間帯が印象評価に及ぼす影響をモデル化するとともに,属性別の印象評価傾向の違いを定量化する手法を確立することに取り組む。
建物外観印象評価については,建物構成要素との関係を分析するとともに,地域分析や建築設計への応用を検討する。
好印象街路画像生成については,近年の画像生成AI技術も参照しながら,より高精度かつリアリティのある街路画像生成に取り組む。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] People Flow Trend Estimation Approach and Quantitative Explanation Based on the Scene Level Deep Learning of Street View Images2023

    • 著者名/発表者名
      Zhao Chenbo、Ogawa Yoshiki、Chen Shenglong、Oki Takuya、Sekimoto Yoshihide
    • 雑誌名

      Remote Sensing

      巻: 15 ページ: 1~26

    • DOI

      10.3390/rs15051362

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 画像ビッグデータと大規模被験者アンケートに基づく住宅地における街路印象評価推定モデル2022

    • 著者名/発表者名
      沖 拓弥、木澤 佐椰茄
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集

      巻: 87 ページ: 2102~2113

    • DOI

      10.3130/aija.87.2102

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 人々の空間認識・評価の特徴を学習させた空間設計支援AI2023

    • 著者名/発表者名
      沖拓弥
    • 学会等名
      超異分野学会 東京大会2023
  • [学会発表] Basic Analysis of Characteristics of Vacant Houses in Ota Ward, Tokyo2022

    • 著者名/発表者名
      Yujia Yao, Takuya Oki, Naoko Saio, Masahiro Fukagawa, Shoma Tamba
    • 学会等名
      CSIS DAYS 2022「全国共同利用研究発表大会」
  • [学会発表] 街路全方位画像ビッグデータを用いた街路景観の主観的印象評価に見られる属性別傾向2022

    • 著者名/発表者名
      沖拓弥, 小川芳樹, Zhao Chenbo, 今出川祐亮, 清水千弘
    • 学会等名
      CSIS DAYS 2022「全国共同利用研究発表大会」
  • [学会発表] 街路全方位画像ビッグデータを用いた街路景観の主観的印象評価モデルの構築2022

    • 著者名/発表者名
      小川芳樹, 沖拓弥, Zhao Chenbo, 関本義秀, 清水千弘
    • 学会等名
      第31回地理情報システム学会学術研究発表大会
  • [学会発表] 街路全方位画像ビッグデータを用いた街路景観の主観的印象評価の属性別傾向2022

    • 著者名/発表者名
      沖拓弥, 小川芳樹, Zhao Chenbo, 今出川祐亮, 清水千弘
    • 学会等名
      第31回地理情報システム学会学術研究発表大会
  • [学会発表] 東京都大田区における空家の特徴に関する基礎的分析2022

    • 著者名/発表者名
      尭裕佳, 沖拓弥, 斎尾直子, 深川正浩, 丹波奨真
    • 学会等名
      第31回地理情報システム学会学術研究発表大会
  • [学会発表] 街路全方位画像ビッグデータから抽出した建物外観画像に基づく汎用的な印象評価手法の検討2022

    • 著者名/発表者名
      今出川祐亮, 沖拓弥, 小川芳樹, Zhao Chenbo
    • 学会等名
      第31回地理情報システム学会学術研究発表大会
  • [学会発表] 街路景観画像と印象評価値の変化を統合的に予測可能なシミュレーション手法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      山中理沙, 沖拓弥
    • 学会等名
      2022年度 人工知能学会全国大会(第36回)
  • [学会発表] 街路画像ビッグデータを用いた印象評価アンケートにおける属性差について2022

    • 著者名/発表者名
      今出川 祐亮, 沖拓弥
    • 学会等名
      人間・環境学会第29回大会

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公開日: 2023-12-25  

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