研究課題/領域番号 |
22K04512
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
初田 香成 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 准教授 (70545780)
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研究分担者 |
岩本 馨 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00432419)
石榑 督和 関西学院大学, 建築学部, 准教授 (10756810)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 本部町営市場 / 那覇市牧志公設市場 / ガーブ川水上店舗 / 中島廉売市場 / 露店 / 物質性 |
研究実績の概要 |
二年度目にあたる本年度は、①闇市由来など全国の仮設建築調査の一環として、沖縄県本部町町営市場や周辺の実測および資料調査、北海道における資料調査、②都市空間の物質性に関する理論的探求の一環として、日本建築学会都市史小委員会主催のパネルディスカッションの企画・打ち合わせという二つの作業を主に行った。 ①では9月上旬に現地で予備調査と国立国会図書館、沖縄県立図書館、沖縄県公文書館で資料調査を、11月上旬に現地で町営市場や周辺の民家・街区の実測調査を行った。現市場の増改築や、テント市場から発生した旧市場との比較などを通じて、仮設建築の常設化過程を示そうとしたものである。また街区調査と地籍簿による敷地分筆過程復元や古写真による景観復元を通じ、河口港沿いで崖が迫る狭い平野部の都市形成過程に迫ろうとしている。仮設建築単体だけでなく都市規模の分析に展開しようとするものである。3月中旬には函館市中央図書館、夕張市りすた図書館、札幌市公文書館でも史料調査を行った。 ②では打ち合わせや都市史小委員会などで議論を行い、近年の災害や空き家問題などから人間や社会とは別個に働く物質の論理という示唆を得て、物質性が直接人間に作用する局面に着目するという問題意識を共有した。これらの議論を踏まえ、2024年度日本建築学会大会においてパネルディスカッション「都市の物質性(マテリアリティ)は都市史研究に何を提起しうるか」を開催する予定である。 この他に昨年度に投稿した、それぞれ第二次世界大戦後の那覇市牧志公設市場および周辺商業地の形成と、同市ガーブ川水上店舗の形成と再開発に関する二本の査読論文が日本建築学会計画系論文集に掲載された。また研究分担者が岐阜駅前繊維問屋街と北但大震災後の復興における都市形成について論文発表と学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本部町の町営市場や周辺の民家・街区で実測調査や史料調査を行うとともに、オンラインや対面で打合せや委員会を開催するなど、計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度としてこれまでの各地の闇市由来建築の調査結果をまとめる。そのために近現代都市史研究のレビューを行ったり、各事例を比較するなどして、調査結果を位置づけることを試みる。また都市の物質性に関するパネルディスカッションを開催することで、都市史研究に新たな視点を提起したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたほど対面での研究会を開催しなかったため、旅費などで残額が発生したが、次年度に使用する予定である。
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