研究課題/領域番号 |
22K04519
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
水田 丞 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (40540406)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | トーマス・ウォートルス / アーネスト・ウォートルス / 鉱山開発 |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績は下記の通りまとめられる。 1) トーマス・ウォートルスの弟で、鉱山技術者として活躍したアーネスト・ウォートルスの履歴をまとめ、日本産業技術史学会の学会誌『技術と文明』に査読論文として掲載された。アーネストは英国で鉱山技術者としての経験を積み、明治初期の日本で活躍した後、米国コロラド州で鉱山技術者として活躍する。家族の書簡を解読した結果、アーネストのこの軌跡の背景に兄トーマスの采配があったことが判明した。アーネストが英国で鉱山技術者としてのキャリアをはじめた時、兄トーマスは明治時代の日本で造幣局の建設を行っていた。また、コロラド州でアーネストが鉱山開発を行っていた際も、度々兄弟と連絡を取っていた。兄トーマスの頭の中に、鉱山開発を自分たちの仕事としようという意図が早くからあったものと推測される。 2) ウォートルス兄弟がニュージーランドや米国コロラド州に鉱山開発で手掛けた鉱石運搬システム(インクライン)について調査した。東京大学附属図書館、九州大学附属図書館で19世紀から20世紀初期の鉱山関係や鉄道関係の技術書を閲覧し、資料を収集した。 3) 英国土木学会図書館において、インクラインに関する英国の文献調査を行った。インクラインはもともと河川交通で用いられていたことが分かった。あわせて、英国SOAS図書館、ポール・メロンセンター図書室で文献調査を行い、トーマスが得意とした英国のジョージアン様式に関する関連書籍を閲覧した。 4) 19世紀東アジアの洋風建築に関連して、ジャーディン・マセソン商会の商館建築について論文を執筆し、英文ジャーナルに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果の取りまとめが進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はこれまでの資料調査や現地調査の成果を踏まえ、執筆を進める。特にウォートルス兄弟の鉱山開発の技術的な特徴について整理・考察する。
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